義理兄が光源氏に「女遊びを教える」驚愕の行為 現代人には「つっこみどころ」もある源氏物語

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そんな猥談のシーンに関して、作者の紫式部は4人の会話を評してこんなふうに言っています。

原文:いと聞きにくきこと多かり。
訳:本当に聞きにくい話が多かった。

女性である紫式部が、男4人の会話を直接的に描かず、「聞きにくきこと」と言っているということは、どういうことかわかりますよね?「男たちのどうしようもないスケベ話」が展開されたのではないかと推測できます。

義理のお兄さんが、女遊びを教えている

さて、この「雨夜の品定め」の登場人物の1人に、頭中将がいます。

この人物は、実は源氏物語で頻繁に登場し、光源氏のライバルポジションとして現れる人です。光源氏とは割と仲良しだけど、でも「お前には負けないぞ!」といった、少年漫画のような関係性になります。同じ女の人に恋文を送って恋敵になったり、仲良くしたりもします。

この人物も、「雨夜の品定め」で積極的に「こういう女性がいいよね〜」という話をしている1人になります。

……が、ここで1つ、ツッコミどころがあります。

この頭中将というのは、なんと、光源氏の妻である「葵の上」の実のお兄さんなんです。つまりは、光源氏の義理のお兄さんなのです。

ですから、このシーンは実は見方を変えると、「頭中将」は、「妹の旦那に対して、『妹のことはおいておいて、こういう女の子と遊ぶといいぜ!』と女遊びを教えている義理のお兄さん」になります。

現代的な感覚で言うと、「何してるの!?」とツッコミを入れたくなってしまいますね。

もちろん時代背景的なところで言えば、一夫多妻制が認められていましたから、今とは感覚が違います。それに、妹がツンデレすぎて、夫の光源氏が苦労していることも知っていたので、頭中将としては善意で、「貴族の嗜みとして、軽く女遊びでも教えてあげるか」というようなテンションだったのだとの解釈もできます。


とはいえ、それを差し引いてもドン引きな行動ですね

さて、このシーンではシリアスな過去の恋愛遍歴を語ることもあるのですが、かなりボケが多くて、読者にツッコミを求めていたり、時には筆者が地の文でツッコミを入れているシーンが続きます。

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