最高益でも喜べない、不正に揺らぐトヨタグループ 「次の道を発明しよう」と豊田会長は呼びかけた

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もっとも、トヨタ本体の業績は絶好調だ。2023年のグループ世界新車販売は1123万台と4年連続で世界首位、レクサスブランドを含むトヨタ単体でも1000万台の大台を初めて達成した。

2024年3月期決算は営業収益43.5兆円、営業利益4兆9000億円といずれも過去最高を見込む。ダイハツや織機の不正の影響はあるが、純利益も同社初の4兆円台を見据える。

トヨタ幹部は「業績がいいときこそ、こうした問題には一層気をつけなければならない」と危機感を募らす。長年培ってきた信頼というブランドが傷つけば、この先の競争力低下を招きかねない。

豊田会長がグループ改革の先頭に

この日、「次の道を発明しよう」という新たなグループビジョンを提示した豊田会長。「トヨタグループ全体の責任者はこの私」と明言したうえで「現場が自ら考え、動くことができる企業風土を構築したい」と先頭に立って改革を進める覚悟を示した。

具体的には、今年開かれるグループ17社の株主総会に豊田会長が出席し、株主としてのガバナンスを利かす。また、商品・技術の最終関門となる「マスタードライバー」職を各社に設けるという。ただ、こうした取り組みはあくまで入り口にすぎない。

トヨタ幹部はグループの立て直しに「正解もゴールもない」と話す。豊田会長が言う「主権を現場に取り戻す」ためには険しい道が続きそうだ。

横山 隼也 東洋経済 記者

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よこやま じゅんや / Junya Yokoyama

報道部で、トヨタ自動車やホンダなど自動車業界を担当。地方紙などを経て、2020年9月に東洋経済新報社入社。好きなものは、サッカー、サウナ、ビール(大手もクラフトも)。1991年生まれ。

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