肉系に強い松屋が「おしゃれパスタ」を始めた理由 およそ5年ぶりとなる新業態の店舗をオープン

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松屋フーズは新業態の育成のほかにも、松屋の複合店化を打ち出していた。2019年から導入している複合店は、松屋と松のや、松屋とカレー専門店「マイカリー食堂」などの組み合わせがある。

店舗数を増やしている複合店。「松屋」と「マイカリー食堂」、「松屋」と「松のや」などの組み合わせがある(記者撮影)

複合店は直接的には多様な客層の取り込みや、1店舗に複数ブランドがあることによる客数の増加により売上高を拡大させる狙いがある。さらに、松屋以外のブランドの認知度を高める効果も期待できる。

複合店の出店を進め、2月8日時点で全店舗の約3割にあたる355店舗まで拡大した。今後も、新店舗の出店時や改装の際に、複合店化を進める。

麦のトリコは単体での出店を模索

一方で、今回出店した麦のトリコは複合店では展開せずに、今後も単体での出店となりそうだ。店内に製麺機を設置し、作りたての生パスタを提供するのが売りで、ごはんを提供する松屋などどはオペレーションが異なる。

麦のトリコは2号店以降の出店予定は現時点ではないが、「客数の動向などを注視して、出店を計画していく」(松屋フーズ広報担当者)とする。

松屋フーズはコロナの影響が薄れ、今2024年3月期については売上高1257億円(前期比17.9%増)、営業利益45億(同206%増)と、急回復を算段する。さらなる成長へ、牛丼一本足打法から脱却することはできるのか。パスタ店の育成はその試金石となる。

金子 弘樹 東洋経済 記者

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かねこ ひろき / Hiroki Kaneko

横浜市出身で早稲田大学政治経済学部を卒業。2023年4月東洋経済新報社入社。現在は外食業界を担当。食品ロスや排出量取引など環境問題に関心。

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