京阪石山寺駅を紫一色に変えた「大河」への期待感 源氏物語ゆかりの地、石坂線の「小ターミナル」

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大津営業部営業課の中島喜久夫運輸係長は「大阪・京都・滋賀を結ぶ路線のネットワークで琵琶湖までお客さまを誘致するのが大津線。とくに土日は『光る君へ』の効果で、以前より石山寺への参拝利用が増えている印象がある。沿線に注目が集まることでたくさんの方にご乗車いただければ」と話す。

京阪石山寺駅ホームに立つ大津営業部運輸課長
京阪電気鉄道大津営業部営業課の中島喜久夫運輸係長。現在は駅名看板も紫色に変更されている(記者撮影)

『光る君へ』の放送開始を受け、石坂線沿線はイベントが目白押しだ。1月29日、石山寺境内の明王院には、ドラマで使用した衣装や小道具を展示する「大河ドラマ館」、世尊院には平安時代の文化を楽しむことができる「恋するもののあはれ展」がオープンした。

大津市歴史博物館は「源氏物語と大津」と銘打った特集展示を開催。石山寺所蔵の源氏物語ゆかりの品などを紹介する。同博物館は園城寺(おんじょうじ)の北に隣接する。三井寺の名称で親しまれる園城寺は、西国三十三観音巡礼の第14番の札所で、紫式部の父、岸谷五朗さん演じる藤原為時が出家した寺でもある。石坂線の三井寺駅や大津市役所前駅から徒歩でアクセスできる。

「大河」で盛り上がる沿線

京阪は大津線1日乗り放題と石山寺入山券、大河ドラマ館入館券などをセットにした周遊チケットを2025年1月末まで販売。大河ドラマによる集客に期待を寄せる。

京阪石山寺駅
紫に変身した石山寺駅正面の案内表示。『紫式部図』が出迎える(写真:京阪電車)

歴史ある寺社仏閣が沿線に多く点在する石坂線は、大河ドラマとは相性がよい路線の1つと言える。最近では、2020年の『麒麟(きりん)がくる』。北端の坂本比叡山口駅は、明智光秀が琵琶湖に面して築いた坂本城や、光秀一族の墓がある西教寺などの玄関口になる。

2022年の『鎌倉殿の13人』に関しては、京阪膳所駅の近くに木曽義仲の墓や巴御前をまつった巴塚がある義仲寺が建つ。境内に松尾芭蕉の墓があることでも知られる。

琵琶湖からの唯一の自然流出河川である瀬田川は、京都府に入ると宇治川と名前を変える。宇治もまた、源氏物語の主要な舞台の1つ。こちらには京阪宇治線が延びている。大河ドラマのストーリー展開は京阪沿線の観光需要に少なからず影響を与えそうだ。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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