「67歳同士での再婚」反対押し切った2人のその後 「派手な妻」「経営者の夫」は遺産相続で揉めたが…

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「会ってみたら爽やかな雰囲気だし、明るくて誠実そう。真剣交際に進むまでは食事に行ってはいけないルールなのですが、私は徹さんがすごくいいなと思ったので夕食に行ったんです。お酒を飲めない徹さんはお酒の場に慣れていないのも好印象でした。帰りがけにサヨナラをしても振り向こうともしない。いろいろ知らないんだ~、田舎っぽい!と好きになりました」

独特の表現で徹さんを愛でる文子さん。徹さんのほうはどのような経緯で再婚の場に臨んだのだろうか。話を振ると、意外なほどの勢いで話し始めた。おしゃべり好きなのは似たもの夫婦なのかもしれない。

「前の結婚は29歳のときです。見合い結婚で、妻は私より2歳年下でした。結婚してしばらくして●●●(新興宗教名)にハマってしまって、ずいぶん金をつぎ込んでいたみたいです。私は車が好きで何台も持っていたので、お互いに好きなようにやっていたとも言えます」

「お父さん、再婚してもいいのよ」

徹さんの長女も同じ宗教に入信している。長女が教団の意向をくんだ相手と結婚してから徹さんの前妻は悩み始める。長女の夫のことがどうしても好きになれず、かといって教団に逆らうこともできない。

「すごく痩せてね、うつになって、あるときに亡くなった。そう言えば死に方はわかるでしょう。私が62歳のときでした。それから2年間ぐらいは地獄だったよ」

ようやく立ち直ってからは独り暮らしの寂しさが身に染みた。コンビニやスーパーで買った食事を食器も使わずに台所で食べ、家業の工場に通うだけの日々。コンビニで店員から「お弁当を温めますか?」と聞かれるのが女性との唯一の会話だったと振り返る。

そんな父親の様子を見ていた長女が「お父さん、再婚してもいいのよ」と言ってくれた。信仰が原因でギクシャクしていた家族もこの頃までは親愛の情で結ばれていたのだ。

「結婚相談所に入ったけれど、お見合いはほとんどできませんでした。財産は子どもたちに遺したいと思って未入籍を希望したので不人気だったみたいです。4歳下のおばさんと会ったこともあるけどちっとも面白くなかった。

そんなときに(文子さんから)申し込みが来た。前から写真を見ていて、『いいな~この女、最高!』と思っていたから、しめた!と思ったね」

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