「なぜ自分が」被災者の心の傷に、我々ができる事 専門家「被災者が孤立しないためのケアが必要」

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でも、心の不調は外からは見えにくい。特に、「大丈夫ですか?」と聞かれれば、「大丈夫です」と答える人は多い。

このため、「普段怒らない人が怒りっぽくなったり、飲酒の量が増えたり、普段遅刻しない人が遅刻したり、学校の成績が下がったりしていないか、周りの人が注意深く行動を見守ることが大切です」(高橋さん)。

石川県庁のDPAT調整本部で、活動方針について検討、指示を出している高橋さん。撮影日は2024年1月7日(写真:筑波大学提供)

支援者・救援者の心のケアも必要

支援者・救援者の心のケアも欠かせない。

被災した自治体で働く行政職員、保健師や、被災した病院のスタッフは、支援者であると同時に被災者でもあるが、立場の二重性ゆえに、被災者から心ない言葉をかけられたり、怒りをぶつけられたりするなど、より大きな精神的ストレスを受けることがある。

市民のために昼夜問わず活動せざるをえない人もいる。

「被災者の支援が第一優先なのは間違いありませんが、支援者がいなくなれば被災者を助けることはできません。支援者が心に不調をきたすことのないよう、事前の予防的教育や、上長や組織が個人を守るシステム作りが求められます」と高橋さんは言う。

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