【産業天気図・石油】2006年度は原油高一服でもマージン改善期待、実質増益へ

今2005年度の石油精製・販売業界は(1)急速な原油高による原油の在庫評価益の膨張、(2)海外を中心にした原油開発の増加、(3)アジア向け輸出が好調な石油化学製品が稼いだ−−などの要因から、新日本石油<5001.東証>、昭和シェル石油<5002.東証>、コスモ石油<5007.東証>などが大幅な増益になった。新日本石油の05年度の原油在庫評価益はWTI=60ドル、ドバイ=55ドルを前提にした結果1550億円に膨らみ、経常利益は3000億円(前期比41%増)になる。
 ただ、原油在庫評価益を除いた「真水の利益」は厳しい。前05年12月期の決算を発表した東燃ゼネラル石油<5012.東証>のW・ボガティ取締役は、大幅減益になった理由として日本の石油販売マージンの低さを指摘、「日本の石油販売マージンは悲惨な水準だ」と語る。大手元売りは「04年度は比較的マージンをとれたが、05年度は原油高に製品値上げが追い付かなかった」と事情を語る。
 06年度の利益見通しについては、各社とも原油高による在庫評価益を見込まない姿勢。イラン情勢など地政学的なリスクは大きいが、世界の原油価格を決めているNYMEXのWTI原油価格は60ドルを挟んで一進一退の動きで、買い疲れの傾向も見られる。
 新日本石油は「中期経営計画で、真水の経常利益で1500億円以上を確保したい」(平井茂雄常務)とのスタンス。石油元売りは06年度については、原油高が一服すれば製品値上げが原油高に追い付き、マージンが改善する、と期待している。新日本石油の場合、産業用の重油などで値上げのズレ込みがなくなると数百億円のマージン改善が期待できる。また、150億円規模の経費削減を進める。原油開発利益、石油化学も高水準は維持できそうで、原油在庫評価益が消えても経常利益は2000億円水準と、実質増益を図れそうだ。
【内田通夫記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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