「スマホ依存」抜け出せない人がまず観察すべきもの マインドフルネスの活用で衝動を"やり過ごす"

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渋滞は即席のカラオケ練習会への誘いであってもいいはずだ。金曜の夜にひとりなら、誰も見たがらない映画をひとりで楽しむチャンスだと捉えることもできる。

マインドフルネスはそうした誘惑に気づき、うまく乗り切るための機会をくれる。と同時に、私たちを依存へと駆り立てる心の奥底の感情や恐れ、欲求にも気づかせてくれる──それこそが、依存を断つために不可欠なステップだ。

自分はスマホに何を求めているのかを知ること

ブルワーは著書『あなたの脳は変えられる 「やめられない!」の神経ループから抜け出す方法』〔久賀谷亮監訳・解説、岩坂彰訳、ダイヤモンド社、2018年〕で、依存症の主たる原因を、よい気分を味わいたい欲求と(あるいは)嫌な気分から逃れたい欲求だと説明している。

『スマホ断ち 30日でスマホ依存から抜け出す方法』(KADOKAWA)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

スマホの使用時間を減らすうえでも、自分がスマホで何を得たいと思い、何を避けたいと考えているのかを理解しておかなければ、最後には行き詰まるはめになる。

元にもどるか、あるいは同じような効果が得られる、より悲惨な結果を招きかねない別の習慣に手を出すかのどちらかだ。

マインドフルネスを実践すると、脳には別の人格があるように感じられるだろう(私は自分の脳を頭のネジの飛んだ親友だと考えている)。

脳の誘惑のすべてに、イエスと答えなくていいと理解したとき、あなたは自分の人生の手綱を取りもどすことになるのだ──スマホ上でも、スマホ以外でも。

キャサリン・プライス 科学ジャーナリスト

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Catherine Price

イェール大学卒業、カリフォルニア大学バークレー校大学院を修了後、ワシントン・ポスト・マガジン、ニューヨーク・タイムズ紙など多くの新聞や雑誌で活躍する科学ジャーナリスト。本書の原著〝How to Break Up with Your Phone〟(Ten Speed Press)は世界34カ国で出版された。著書として〝Vitamania:How Vitamins Revolutionized the Way We Think About Food〟(Penguin Books)や〝The Power of Fun:How to Feel Alive Again〟(The Dial Press)など(いずれも未邦訳)。

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