今年は人手不足倒産が加速?「2024年問題」の要諦 企業が取り組んでいる施策は根本解決には遠い

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「AIやロボットの活用が大事というのはわかりますし、実際に取り組んでいますが、他社もやっていること。やったからといって、他社に後れを取らないだけで、当社の競争上の地位は変わりません。採用での苦戦は、今後も続くように思います」(素材)

「近年、給与水準を引き上げました。職場環境を改善し、ホワイトになりました。しかし、若い世代の離職は減っていません。よく『最近の若者は給料と残業のことだけを気にする』と言われますが、実際はもっと深いところまで考えているのでしょう」(金融サービス)

まずビジネスモデルの変革が必要

仮に、ある会社が業界平均を上回る高給を提示して人材募集をしたとします。この会社の事業に将来性や競争力がなく、成長性・収益性が業界平均より低かったら、はたして多数の応募があるでしょうか。

最近の就活生や転職希望者は、会社のことを実によく調べています。この人材募集を見て、「ちょっと無理をしているな。高給は一時的なものだろう」と簡単にレモン(英語圏では、外見は良いが中身が伴わないものと例えられる)だと見透かします。なんとか採用しても、すぐに離職してしまいます。

事業に将来性や競争力があり成長性・収益性が高いのに、給与や職場環境が悪いというなら、早急に⑦給料など待遇の改善、⑨職場環境の改善に取り組む必要があります。しかし、事業の将来性・競争力が低いなら、まずビジネスモデルを見直すことから始めるべきでしょう。

事業は、Who・What・Howの3要素で定義できます。どういう顧客の<Who>どのようなニーズに<What>どう対応するか<How>です。

自社の現在のWho・What・Howを確認し、競合他社と比較して優位性があるのか、ないならそれぞれをどう変えていくのか、という検討を行います。

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