「スマホ入浴」増加、無意識の長風呂に潜むリスク お風呂で動画や映画に夢中になる人は多いが…

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では、「スマホ入浴」について注意喚起はなされているのか、国民生活センターに聞いてみた。スマホ入浴について、商品テストや注意喚起はしていないが、「防塵・防水性能を示す“IP○○”は、規格に基づいた条件で試験を行った結果、問題がないことを示しています」という。

たしかに携帯電話会社のサイトやスマホの取扱説明書には、防水機能があっても海水や温泉、入浴剤の入った風呂などでの使用は注意が必要といった記載がある。

「風呂場で使用する際には、その端末にどういった使用方法が認められているのかや、注意点(使用時の注意事項や使用後の乾燥・水抜き方法など)のほか、万一の故障時の保証の取り扱いなどについて、あらかじめ取扱説明書などで確認しておく必要があるでしょう」(国民生活センター)

イマドキの浴室は快適空間に進化

実は最新の浴室は、快適性に大きな進化を遂げている。そもそも今のユニットバスは断熱性が高いので、浴室が寒くなって湯温が下がり、長くいられないということがない。

加えて、浴槽は魔法瓶のように温かさを保つものがスタンダードになっているので、湯温が下がりづらく、家族が入るたびに何度も追い焚きをしなくてもよい。また、リラックスした姿勢がとりやすい形状の浴槽や、噴出された水流で肩や腰を刺激する“肩湯”の仕組みを採り入れたものもある。

ほかに、浴室のダウンライトに調光・調色機能を付けたものもあって、さわやかな灯りからあたたかい灯りまで気分に合わせて照明をコントロールできるようになっている。

もちろん、水はけのよい床材や簡単にごみが捨てられる排水口などが普及し、毎日の掃除のしやすさも向上している。さらには、掃除機能の付いた浴槽まで登場し、風呂自身で掃除をしてくれるものまである。このように浴室がどんどん進化していることが、長風呂をしやすくしている背景にあるのかもしれない。

とはいえ、長風呂は身体が温まり、リラックス効果がある一方で、脱水や乾燥などのリスクもある。動画や映画に夢中になって、熱いお湯に長時間浸かりすぎないようにしてほしい。

山本 久美子 住宅ジャーナリスト

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やまもと くみこ / Kumiko Yamamoto

早稲田大学卒業。リクルートにて、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅メディアへの執筆やセミナーなどの講演にて活躍中。「SUUMOジャーナル」「All About(最新住宅キーワードガイド)」などのサイトで連載記事を執筆。宅地建物取引士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を有す。

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