中国不動産大手、創業家が「私財投入」の崖っぷち 碧桂園、住宅販売収入の激減で資金繰りに困窮

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碧桂園の説明によれば、同社は2023年1月から11月末までの間に約50万戸の住宅を(予約購入した顧客に)引き渡したという。

だが2023年初めの時点では、碧桂園は年末までに70万戸を(予約購入者に)引き渡すとの目標を掲げていた。現状を鑑みれば、同社が目標を達成するのは極めて難しいだろう。

碧桂園の創業家が「私財を投げ打つ」と宣言したのは、政府や金融機関の支援を得るための方策との見方もある。写真の右から2番目が創業者の娘の楊恵妍氏(同社ウェブサイトより)

不動産業界の債務危機を重く見た中国政府は、不動産市場を金融面から支える政策を相次いで打ち出している。10月末に開催された中央金融工作会議では、「金融と不動産の好循環の促進」や「異なる所有制(訳注:国有および民営)の不動産会社による合理的な資金調達ニーズへの対応」などの方針が打ち出された。

金融機関の支援を得られるか

市場関係者の間には、中国政府の監督当局が(金融危機を予防するために救済する)大手不動産会社のホワイトリストを作成中であり、国有および民営の50社が対象になるとの情報が流れている。

本記事は「財新」の提供記事です

そんななか、4大国有銀行の1つである中国工商銀行と広東省に本拠を置く広発銀行が、それぞれ「不動産会社の合理的な資金ニーズの支援」に関する(大口融資先との)座談会を開催し、そこに碧桂園も招かれたことが注目を集めた。

同社は果たして、金融機関の支援を獲得して経営危機を乗り越えられるのか。中国の市場関係者は固唾を吞んで見守っている。

(財新記者:王婧)
※原文の配信は12月9日

財新 Biz&Tech

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