力強さ戻った「鳥貴族」、一段成長への新たな焦点 全国1000店舗体制へ、アクセルを踏み込む

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足元の業績が好調な鳥貴族は、一段成長へとアクセルを踏み込む算段だ。

鳥貴族はこれまで、積極的な新規出店をテコに成長を続けてきた。

1985年、東大阪に1号店を出店し、その後関西で店舗を拡大した。2005年に東京・中野で関東に初出店すると、2010年10月には200店舗を達成。その後も、1年間に50店舗以上の出店を続け、2018年7月末には665店舗まで増加した。

店舗網拡張に伴い、業容も拡大。同社の売上高は2010年7月期の56億円から、2018年7月期には339億円と、8年間で6倍以上まで成長した。

一方で、コロナ禍で出店にブレーキがかかった。足元の店舗数は630店舗(2023年11月末時点)と、ピークだった2018年を下回っている。今期についても28店舗の純増を計画するが、11月末時点で4店舗の純増と、出遅れ感が否めない。

地方エリアの開拓に本腰

これまでの鳥貴族は関西や関東を中心に、大規模な商業圏に集中して出店するドミナント戦略を遂行してきた。具体的には、繁華街である東京・渋谷の周辺では「道玄坂店」や「センター街店」など9店舗もの店舗を構えている。

今後は、こうした密集エリアで出店を続けることは難しい。自社店舗同士の競合が発生してしまうため、出店余地が限られているのだ。

そこで、鳥貴族は関西や関東以外の地域の開拓にも力を入れ始めている。2023年に入り、東北や四国に初出店。その後も福岡や北海道でも出店を継続している。

関西や関東の未出店エリアや、地方の新規開拓を進めることで、2030年には1000店舗まで広げる方針だ。

新規出店した地方エリアでも、現時点では客足は好調に推移しているようだ。この先も目論見通り、地方での店舗数を増やすことができるか。多くの業界で人手不足が深刻化する中で、人材確保や教育も同時に求められる。

金子 弘樹 東洋経済 記者

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かねこ ひろき / Hiroki Kaneko

横浜市出身で早稲田大学政治経済学部を卒業。2023年4月東洋経済新報社入社。現在は外食業界を担当。食品ロスや排出量取引など環境問題に関心。

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