力強さ戻った「鳥貴族」、一段成長への新たな焦点 全国1000店舗体制へ、アクセルを踏み込む

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さらに、際立つのが原価率の低さだ。鳥貴族HDの2023年7月期の原価率は29.9%。今第1四半期では前期より若干悪化したものの、30.4%と低い水準を維持している。

鳥貴族の原価率の低さは、他の居酒屋チェーンを運営する企業と比較すると明らかだ。

「串カツ田中」を展開する串カツ田中ホールディングス(HD)は今2023年11月期の第3四半期(2022年12月~2023年8月)時点で、原価率が37.6%。「鳥メロ」や「ミライザカ」などを運営するワタミは今2024年3月期上期(2023年4~9月期)時点で、原価率が42%だった。

鶏肉の大量購買が奏功

「鳥貴族は鶏肉の大量購買などによって原価を抑えることができたのではないか」。居酒屋チェーンを運営する競合企業の幹部は、こう語る。

昨年冬からの鳥インフルエンザの流行によって、鶏肉や鶏卵などの供給は減少した。現在も鳥貴族では、鶏皮の使用した商品の提供を制限している店舗が一部ある。

だが、農林水産省のデータによると状況は良化している。鶏のもも肉の卸売価格は2023年の1月から4月にかけて800円を上回る状況が続いていたが、鳥インフルエンザの供給不足から回復した9月以降は600円台半ばと、鳥インフルエンザの影響が出る前の水準まで戻っている。

鳥貴族はほぼすべての食材で国産のものを使用しているため、為替変動の影響も受けにくかった。これに対して、例えば串カツ田中では、使用量の多い食用油などの価格が円安影響で高止まりしており、原価を悪化させる要因となっている。

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