「防災」と「環境」を両立させる
“日本発”の高技術開発に挑む
新素材「環境活性コンクリート」誕生

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消波ブロックや土木・環境資材の製造・販売などを手がける日建工学〈9767・東証2〉の業績が堅調だ。5月14日に発表された2015(平成27)年3月期の連結決算では、公共投資がやや弱含みとなった影響を受けながらも売上高はわずかな減少(3.0%減)にとどまった。人材の拡充や鋼製型枠の減価償却費が増え、営業利益は減益(29.8%減)となったが、16年3月期には再び、前期比50.6%増を見込む。コンクリートにアミノ酸の一種のアルギニンを混和した「環境活性コンクリート」を味の素や徳島大学と共同開発するなど、付加価値の高い技術創出に積極的に取り組んでいる。海外での需要拡大にも期待がかかる。

秋田県雄物川に設置された消波根固ブロック

復興事業などの需要に伴い、
足元の業績は堅調に推移

日建工学の業績が堅調に推移しそうだ。15年3月期の連結売上高は87億1300万円と、前期に比べわずかな減少(3.0%減)となり、収益面では、人材の拡充や鋼製型枠の減価償却費が増え、営業利益3億5800万円(29.8%減)をはじめ、経常利益、当期純利益ともに減益となった。ただし、16年3月期には、それも改善し、売上高95億円(前期比9.0%増)、営業利益5億4000万円(同50.6%増)を予想している。予想売上高は過去最高だった2000年3月期の96億円に迫る勢いだ。

日建工学の主力事業は、海岸や河川の護岸のために設置される消波根固(ねがため)ブロックの製造用鋼製型枠の貸与、護岸や景観修景に関連する河川・道路・公園などのコンクリート二次製品の製造販売、土砂吸出防止・洗掘防止・遮水などの土木用シートの製造販売の3事業となっている。

次期の見通しの背景には、東日本大震災の復興事業および東海・東南海ならびに火山・砂防などに対する国の防災・減災対策事業などの国土強靱化政策の推進に伴い公共投資が増えていることが挙げられる。たとえば東日本大震災の被災3県では、海岸堤防、防潮堤工事に必要な消波根固ブロックなどの需要が高まっている。

ここで注目したいのは、消波根固ブロックを提供するビジネスモデルだ。日建工学に限らず、消波根固ブロックメーカーは一般的に、消波根固ブロックの鋼製型枠を所有し、その型枠の賃貸を主たる事業としている。

日建工学が公共事業に参入する場合でも、事業主体である官公庁との直接の契約を行わず、工事を受注した建設会社に型枠の貸与を行う。このため、型枠製造の初期投資や償却のリスクはあるものの、コンクリート製品の在庫を抱えることはないのだ。ちなみに、同社では消波根固ブロック以外の製品についても自社工場を持たず、全国各地の地域に密着した協力会社にすべて製造委託している。

技術開発を推進し、環境配慮製品など、
他社との差別化を図る

日本は険しい地形と急流の河川が多いことに加え、周囲を海に囲まれているため、災害が起きやすい特性がある。護岸工事などに使われるコンクリート製品のニーズは高く、国内市場も早くから発展してきた。

消波根固ブロックの品質は型枠で決まるが、その型枠製造において、日本は世界でトップクラスの技術力を誇る。海外製品の中には、設置後すぐに崩壊したり沈下したりしてしまうような粗悪な製品もあるが、“メード・イン・ジャパン”の型枠で製造されたものならその心配もない。

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