「セブン-イレブン」が太刀打ちできない地域は? 「コンビニ勢力図」から見えてくる意外な強者

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広島で生まれたポプラ(生活彩家、スリーエイトを含む)も、ローソンとの共同運営を徐々に進めています。こちらはファミリーマートと異なり、ポプラの店舗運営が一部継承されているのが特徴で、両社の共同ブランド店舗「ローソン・ポプラ」では、ポプラ時代に人気を博したポプ弁(あったかいご飯を後から詰める方式の弁当)が健在です。

北海道では大手チェーンより強いセイコーマート

北海道には本州と違う色が広がっていますね(図4)。地場のコンビニ、セイコーマートです。

図4:(北海道・東北)セイコーマートが北海道民の暮らしを支えている

セイコーマートは1971年に札幌で開業したコンビニチェーンで、2023年8月末現在、道内に1090店、本州に96店を構えています。もともと酒の卸売業を展開していた強みを活かして、取引先の酒屋をコンビニに業態転換。さらには弁当などの製造、流通を自社グループ内で行うことで仕入れコストを削減し、札幌から過疎地や離島までをカバーする一大チェーン店に成長していきました。店内厨房で調理する弁当や総菜「ホットシェフ」が人気です。

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コンビニの陣取り合戦には「早い者勝ち」の側面が大きいため、セイコーマートの牙城と言える北海道(とくに道東、道北)には大手チェーンが長らく参入してきませんでした。

2023年8月、稚内市内にローソンが2店舗オープンしましたが、それまでの間、ローソンは約150キロ南(オホーツク海側)の紋別郡雄武町が最北でした。

セブン-イレブンは中川郡美深町(旭川と稚内の中間地点)、さらにファミリーマートは滝川市(札幌から旭川までの道のりを3分の2ほど進んだところ)までしか進出できていません。

セイコーマートの守備は堅く、この勢力図は今後もしばらく変わりそうにありません。

激しい競争が続くコンビニ業界。5年後、10年後の「コンビニ勢力図」はどうなるのでしょうか。

にゃんこそば データ可視化職人

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にゃんこそば / Nyankosoba

東京都生まれ、神奈川県育ち。データ可視化職人。民間企業でクラウドサービスの企画、開発やビッグデータ利活用に従事するかたわら、個人活動としてオープンデータや公的統計の可視化、地図アプリの作成に注力し、日本や世界の「いま」が一目でわかる作品を多数公開している。主な活動歴は、国土交通省『3D都市モデルの整備・活用促進に関する検討分科会』、内閣官房『データ分析セミナー』など。X(旧Twitter)のアカウント名は「にゃんこそば@ShinagawaJP」(フォロワー数:約6.6万人)。テレビ、新聞、ネットメディアでの取材歴多数。

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