勝負は3秒!そそる仕掛けで歩きスマホは減るか あっと驚く、ついつい見てしまう仕掛け3選

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そこで、白い手袋の中に針金の芯と綿を詰め、手袋の端に緑色のチェックシャツの袖口をつけた、立体的な指差しオブジェを当時のゼミ生たちと考案した。

指さしオブジェ
指さしオブジェ(撮影:滝口笙真)

2021年11月30日(火)、12月8日(水)、12月14日(火)、12月22日(水)に、ポスターを指差すように指差しオブジェを設置したところ、ポスターを見た通行人の割合は8.4%(4210人中355人)であった。指差しオブジェの代わりに平面的な指差しのイラストにすると3.95%(4182人中165人)、ポスターだけだと3.5%(4352人中156人)であった。

ポスター総選挙

目のついているポスターがあると誰かに見られている気がして、ルールや社会的規範から逸脱した行動を取りにくくなることが知られている。もし、ポスターと目が合うのなら、その効果はなおさらであろう。

そこで、ずっと目が合っているように錯覚するマスクを5人分製作し、それを選挙ポスター掲示板風のポスターに貼りつけることで、5人から見られている「歩きスマホ対策総選挙」をゼミ生の二川侑磨氏と考案した。架空の各候補者は歩きスマホ防止を訴えているので、それを見た人は歩きスマホをためらうことを期待した仕掛けである。

歩きスマホ総選挙
歩きスマホ対策総選挙(著者撮影)

JR尼崎駅前のコンコースにマスクポスターを2022年9月28日(水)〜10月11日(火)の2週間、比較対象として顔写真を用いた一般的なポスターを2022年10月19日(水)〜11月1日(火)の2週間設置して効果を検証した。

その結果、2秒以上ポスターを見た人の割合は、マスクポスターは23.7%(5万7480人中1万3635人)、一般ポスターは13.4%(6万0064人中8063人)であった。また、ポスターを見て歩きスマホをやめた人の割合は、マスクポスターは43.0%(300人中129人)、一般ポスターは12.4%(380人中47人)であった。

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