OpenAIと組む「UAE企業」米政府が危惧する理由 裏にいる中国に技術を吸い上げられている?

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G42の場合、CIAをはじめとするアメリカの政府機関は、同社と中国企業、および中国当局とのつながりを調査し、いくつかの懸念事項が示された。たとえば、G42の「スタック」(基礎的な技術インフラ)が、ファーウェイを含む中国企業の協力を得て構築されたことが指摘されている。

複数のアメリカ政府関係者によると、諜報機関はG42の子会社「プレサイトAI」を詳しく調べているという。プレサイトAIは世界中の警察に監視技術を販売しており、その中には中国の警察で広く使用されているソフトウェアとほぼ同一の製品も含まれている。

サングラスにこだわりを持つG42の会長タフヌーンは、UAEで最も有力な人物の1人だ。政府高官が複数のポストに就くことが多いUAEにあっても、大統領の弟であるタフヌーンの存在は際立っている。

G42会長は超有力者のアブダビ副首長

秘密のベールに包まれた複合企業「インターナショナル・ホールディング・カンパニー」(UAEで最も時価総額が高い上場企業)を監督するほか、アブダビ首長国の副首長でもあり、8530億ドルを運用する政府系ファンドの代表も務める(一族が運営する別の政府系ファンド「ムバダラ」は、G42に出資している)。

シャオはかなり以前からタフヌーンのベンチャー事業に関わっており、過去の関係のいくつかは、アメリカの諜報機関内で問題視されている。

シャオが率いる会社は4年前、「ToTok」というソーシャルメディアアプリの運営に関与していた。UAE政府が利用者の動きや会話を追跡するために使用しているとして、アメリカの諜報機関がスパイウェアに認定したアプリだ。このアプリは、中国人エンジニアの助けを借りてつくられた。

アメリカの諜報機関による2019年の評価によると、このアプリから刈り取られたデータは、シャオが経営するUAE企業「パックスAI」によって保存されていた。

(執筆:Mark Mazzetti記者、Edward Wong記者)
(C)2023 The New York Times

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