40歳で離婚、福祉に頼りながら幸せに生きる女性 「専業主婦という名の"ひきこもり"だった」

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「興味本位で銀行に行ったらものすごいVIP席に通されて、資産運用の説明を受けました。話を聞いているだけでとても勉強になって、まずは100万円から資産運用を始めたら少しずつ増えていったんです」

マイノリティの当事者会を主催

また、原口さんは自分が発達障害というマイノリティだと自覚したことで、自身の他のマイノリティに関しても向き合うようになり、LGBTQのイベントであるレインボーブライドのスタッフも引き受けるようになった。ずっとひきこもり状態だった原口さんが、大家さんや福祉を通して社会とつながれるようになったのだ。現在は障害年金を受給しつつ、ひきこもりの家族を支援する団体でバイトをしたり、障害者の当事者研究をしている大学でデータ入力業務をたまにしたり、収入が少なくて住民税が非課税なので、非課税世帯に配布される物資や給付金なども活用して生活をしている。

「大家さんが友人を招いて楽しそうにしているのを真似して、私も部屋に友人を招いてご飯を一緒に食べるようになりました。家事は苦手なので、料理は友人が持ち寄ってくれます。また、発達障害でもLGBTQの方でもどなたでも参加できる当事者会を主催して、そこでもいろんなマイノリティの方と交流しています」

ちなみに今は、再婚願望はないという。いまだに体調が良くない日があり、フルタイムでは働けず、非課税世帯をキープしたいという。

一度はどん底まで落ちた原口さんだが、今は多くの理解ある人たちに支えられて生きている。知的好奇心も高い彼女は今後も新しい何かを見つけて充実した生活を送っていくのかもしれない。

本連載ではアラフォー世代で離婚された人が離婚後にどのような変化があり、どんな生活を送っているかの体験談を募集しております。取材の申し込みは以下(https://form.toyokeizai.net/enquete/tko2210b/)よりお願いいたします。
アラフォー離婚後のリアル 姫野桂
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姫野 桂 フリーライター

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ひめの けい / Kei Himeno

1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをしつつヴィジュアル系バンドの追っかけに明け暮れる。現在は週刊誌やWebなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好きすぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。趣味はサウナ。

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