最低賃金、実は「会社員にも関係アリ」な"その中身" 月給から自分の時給までたどり着く計算方法

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世界と比べてみてみると

そもそも、日本の最低賃金の水準はどうなのでしょうか。諸外国の最低賃金と比較すると、残念ながら日本の最低賃金は低いです。

2023年1~4月の為替相場を前提に各国の法定最低賃金を円ベースに計算した資料によると、フランス 1386円、ドイツ 1285円、イギリス 1131円。また、アメリカは961円と低いですが実際には州の最低賃金が適用されており、2000円以上の州すらあります。ちなみに、韓国も1080円(2024年)と日本より高い金額となっています(日本総研「全国平均1000円超時代の世界と最低賃金の在り方」)。

政府は先日、「2030年代半ばまでに全国加重平均が1500円となることを目指す」と表明しました。日本は、終身雇用、年功序列といった特有の雇用システムも残っていますし、厳しい解雇規制もあります。また海外のように産業別の労働組合はなく、労働組合の組織率も年々低下している状況で、労使の交渉によって賃金を大幅に上昇させることも難しいです。

ただ、賃金は自分のスキル、キャリア等で変えることができるものでもあります。スキルアップ等でご自身の時給単価も上げられるように、あらためて自分のキャリアを考えてみるのもよいかもしれません。

武澤 健太郎 大槻経営労務管理事務所社員役員、特定社会保険労務士

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たけざわ けんたろう

社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所 労務コンサルティング事業部執行役員(銀座第3室室長兼務)。2011年9月に経営労務監査プロジェクトのプロジェクトリーダーとして、数多くの労務監査を手掛ける。2012年5月に特定社会保険労務士を付記するとともに、多数のクライアントより個別労使紛争を含む労務相談を受ける。そして、2013年9月には、海外進出プロジェクト担当リーダーに就任し、アジアを中心とした海外進出に必要な労務管理、労働社会保険のアドバイスを積極的に行っている。
 

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