日本人は「超円安」の恐怖がわかっていない! 忍び寄る「通貨危機」への準備はできているのか

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確かに、日本は32年連続の対外純資産1位の国だが、2021年末には2位のドイツの2兆9329億ドルに迫られているし、外貨準備高もその大半が財務省所轄の「外国為替資金特別会計(外為特会)」で、アメリカ国債で運用されている。いざというときに、役に立たない「絵に描いた餅」とも揶揄されている。

たとえば19世紀に基軸通貨だった英国ポンドは、1992年の「ポンド危機」などを経て通貨の価値を大きく下げた歴史を持つ。「ポンド円」相場の推移を見ると、1971年3月には「1ポンド=864円」だったのが、2011年12月には「1ポンド=119円」にまで下落。ざっと7分の1にまで下落した。

7分の1と言えば、円の最高値は1ドル=75円32銭(2011年10月31日)だから、英国ポンドが対円で下落した幅を当てはめると、1ドル=500円を超えることになる。為替相場は、それだけ大きく動く可能性があるということだ。

通貨危機とは「急激な価格変動」のこと?

こうした通貨の大きな変動は、歴史上しばしば起こる。最近ではトルコの「リラ」やアルゼンチンの「ペソ」が急激な下落を続けている。たとえば、ここ3年弱の相場変動を対ドルベースで見てみると、次のようになる。

<トルコリラ>
・1ドル=5.88リラ(2020年1月10日)
・1ドル=28.67(2023年11月15日)
<アルゼンチンペソ>
・1ドル=59.52ペソ(2020年1月10日)
・1ドル=350.06ペソ(2023年11月15日)  

リラは、米ドルが約4.8倍になった勘定になる。NHKが2022年1月17日に「お金の価値が1年で半分に減った国」(国際ニュースナビ)として、トルコリラの暴落を取り上げているが、急激なリラ安の影響で1年前に比べて36%(2021年12月)のインフレに悩まされていると報道している。急激なリラ安はインフレを招き、年金だけでは暮らしていけない状況に陥っている。

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