中国経済、10月は「けん引力」の不足で失速か 財政政策を通じて景気浮揚を図っているが

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縮小

中国の経済活動は10月に失速した可能性が高い。統計は昨年との比較で良好に見えても、実際には、今年最後の数カ月にかけた活動鈍化が隠されているようだ。

こうした動きは小売売上高の統計に最も顕著に表れる見通し。新型コロナウイルスの流行やロックダウン(都市封鎖)を経験した2022年との比較になるため、前年同月比7%増が見込まれる。だが他の指標は消費者の需要と信頼感が勢いを失いつつあることを示しており、活動は前月比では鈍化しているのではないかとエコノミストはみている。一方、固定資産投資と工業生産は横ばいとなる見込み。

これらはいずれも、景気回復の勢いが弱まっていることを示す。中国では珍しく年度途中に予算補正が行われるなど、当局は既に非伝統的な財政政策を通じ景気浮揚を図っている。

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金融政策では、人民元安と資本流出の圧力を考慮すると、景気支援に向けた中国人民銀行(中央銀行)の選択肢はかなり限られる。当局は今週、主要政策金利を据え置くと予想される一方、金融システムへの資金供給を増やすと考えられる。また流動性を潤沢に保つため、市中銀行の預金準備率を引き下げる可能性もある。

オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の中国担当シニアストラテジスト、邢兆鵬氏は、「さまざまな政策を通じた取り組みの下で、経済は安定しつつあるが、経済データはなお不安定に見えるかもしれない」と指摘。前年との比較で良く見えるベース効果によって、来年1月にかけて数字は押し上げられる公算が大きいとした。

先に公表された統計は既に経済活動の軟化を示している。製造業と輸出のデータが低調だったほか、13日に発表された与信の統計では、企業と家計借り入れの軟調さに加え、シャドーファイナンシングの大幅縮小が明らかになった。

国家統計局は現地時間15日午前10時(日本時間同11時)に10月の一連の経済統計を発表する予定。

原題:China Economy Likely Struggled for Traction Despite Stimulus (1)(抜粋)

 

 

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著者:Bloomberg News

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