都市部でも進む「路線バス廃止・減便」の大問題 給料安く負担大、運転士不足に陥るのは当然だ

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ではなぜ東京や大阪を含めて全国的に運転士不足なのか。やはり労力に対する待遇がよくないからだろう。

渋滞もある道路を、自転車や路上駐車車両を避けながら、乗客の安全快適を第一に走行し、停留所との間隔が小さくなるように停め、両替を含めた運賃収受のみならず行き先案内も行う。路線バス運転士の業務が大変であることは端で見ていてもわかる。

このうち乗客の安全確保については、10月下旬から11月上旬にかけて、東京ビッグサイトで開催されたジャパンモビリティーショーで、興味深い話を聞いた。

日本と欧州のバスの違い

このショーではいすゞ自動車が、電動のフルフラットバス「エルガEV」を世界初公開していた。2024年度中の発売を目指すという同車は、左右の後輪それぞれにモーターを1個ずつ装備することでドライブシャフトをなくし、駆動用バッテリーは屋根上に置くことで、車体後端近くまで低床を実現した。

車内に入ると、その場に居合わせた関係者が、欧州で走っているフルフラットバスとの違いを説明してくれた。

欧州のフルフラットバスでは後輪部分の座席が、日本製の車両の前輪上にある通称「オタク席」と同じように、高い位置にある。そのほうがスペースを無駄遣いしないからだ。しかしエルガEVでは、低い位置に設置していた。

その理由として、欧州では急ブレーキなどで乗客が座席から落ちた場合、乗客の責任となるのに対し、日本では乗務員の責任となるので、安全性を考えてこのようにしたと語っていた。

いすゞエルガEV
いすゞ自動車の電動フルフラットバス「エルガEV」(筆者撮影)
いすゞエルガEVの車内
いすゞエルガEVの車内。後輪部分の座席は低い位置にある(筆者撮影)
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