「勉強できない子は机でわかる」東大生断言のワケ 人間は怠ける生き物、だからこそ環境作りが大事

拡大
縮小

西岡:僕はたまに生徒から「なかなか成績が上がらなくて」という相談を受けることがあります。成績が上がらない、つまり結果を出せていないわけです。こういうときに、僕は彼らに勉強している机の周りを写真に撮って送ってもらいます。で、その写真を見ると、なんで結果が出ないのか、たいていの場合はわかります。

がっちゃん:すごい! 特殊能力みたいですね。

西岡:特殊能力でも何でもなく、いくつかチェックするポイントがあるんです。まずは、机の周りがモノで溢れていないこと。授業のプリントとかがバーっと散らばっているような机では集中して勉強できないんです。机の周りはすっきりと整理してあるほうがいい。

そのうえで、本が何冊か近くに置いてあること。書籍という物体は近くにあるだけでいい影響を与えてくれる、と僕は思っています。

さらに、勉強を阻害する要因になるものが近くにないこと。わかりやすいところだと、スマホやゲーム機の類いですね。これは知られている話ですが、ポケットにスマホが入ったままの状態と入っていない状態、どちらが勉強に集中できるかというと、当然ポケットにスマホが入っていない状態です。スマホをポケットに入れたまま手に取らなかったとしても、ポケットに入っているだけで集中できなくなってしまうんです。

つまり、勉強しやすい要因を取り入れ、勉強を阻害する要因を取り除き、机の上を整理する。「なかなか成績が上がらない」と悩んでいる生徒はこの3つを意識できていない、というパターンはよくあります。

がっちゃん:結果を出すにはまず環境作りから、ということですね。

西岡:環境を整えたからといって結果が出るとは限らない、というのも難しいところですが。

結果が出ないときは誰にでもある

がっちゃん:環境作りとか習慣とか、日々の生活で私が意識しているのは「自分がごく普通の人間である」ということです。私は特別な存在じゃない。だから、人と同じように怠けるし、人と同じようにできたりできなかったりする。

とはいえ、動画やら原稿やらの締め切りはやってきますから、まずは3文字だけでいいから書き始める、というのはたまにやっています。3文字書いてそこで終わりにするのは逆に難しくて、3文字書いたら10文字くらいは書きたくなるし、10文字書いてみたらさらに3行くらい書きたくなってるかもしれない。

がっちゃん英語 キミに読ませたくて創った文法書
『がっちゃん英語 キミに読ませたくて創った文法書』(KADOKAWA)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

西岡:やらなきゃいけないことから目を背けてしまうのは誰でもありますもんね。僕の場合、書類仕事など自分が苦手な作業をやる時間を、意識的に作るようにしています。

がっちゃん:そうやって西岡さんに同意していただけるとホッとします(笑)。でもこういう気持ちって、私たちだけじゃないと思うんです。巨匠と呼ばれるアニメ監督のドキュメンタリーを見たときに、その監督が作業をしながら「あー、めんどくさい。実にめんどくさい」って一人言をつぶやくんですよ。こんなに偉大な人でも、こんなに好きなことでも、やっぱりめんどくさいものなんだ、とちょっと安心感のようなものを感じました。

結果が出ないとき、モチベーションが下がってしまうとき、そういうことは誰にでもある。そういうときこそ、この巨匠の「めんどくさい」というつぶやきを思い出して「苦しいときは誰にだってあるよな」と自分の気持ちをリセットするようにしています。

がっちゃん 英語学習系YouTuber

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

がっちゃん / Gacchan

YouTubeという場にて、英語を日本人に教えているごく普通の韓国人。英単語の画期的な習得方法の特許と英語の発音矯正に関する国際特許をそれぞれ取得し、自身で直接描いた6000個のイラストを用いて作った英単語アプリ「Gボカ」はリリース当時iOSストア有料カテゴリー1位を記録した。YouTubeのチャンネル登録者数は60万人を越えており、幅広く人気がある。最新著は『がっちゃん英語 キミに読ませたくて創った文法書』(KADOKAWA)。


 

この著者の記事一覧はこちら
西岡 壱誠 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT