データが示す「Z世代」TikTok人気の意外な事実 「Z世代の費やす時間が長いアプリ」ランキング

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TikTokやXの利用時間が年齢ごとに大きく異なるのに対し、LINEは広い年代に利用されているのが特徴だ。最も利用時間の長い15歳の32分と最も利用時間が短い69歳の10分を比較すると22分と差があるが、20歳から50歳はすべて19分から24分に収まっており大きな差はない。

これはLINEが娯楽だけではなく幅広い年代におけるコミュニケーション手段として浸透しているためだと考えられる。

世代で一緒くたにせず細かな分析が必要

世代内で利用するアプリに違いがあることもZ世代の特徴だ。TikTokがZ世代の中でもより若い層に利用されているのに対し、20代にはXのほうが利用されている。より若年であるほど、動画を介したコミュニケーションが好まれていると考えられる。つまり、ブラウザで調べる代わりにSNS、たとえばTikTokなどで検索するようになっているかもしれない。

”Z世代”という言葉がフォーカスされるあまり、Z世代の中の多様性が軽視されていないだろうか。本稿では年齢にフォーカスし、Z世代の中でも19歳と27歳ではスマホの使い方に大きな違いがあることを見てきた。性別や居住地域など、他にも様々な要素で同様の世代内の違いがあるだろう。Z世代を対象としたマーケティング施策を検討する際は、世代で一緒くたにするのでなく、より解像度高く彼ら、彼女らを理解することが必要だ。

【スマートフォンアプリログデータ】
株式会社ドコモ・インサイトマーケティングが所有するdi-PiNK(※1)のアプリ利用履歴(個別に同意をいただいた方)
※1 di-PiNKは株式会社ドコモ・インサイトマーケティングの登録商標
山津 貴之 インテージ メディアアナリスト

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やまつ たかゆき / Takayuki Yamatsu

2014年に大学卒業後、インテージへ入社。2017年からスマートテレビ視聴ログを用いた商品である「Media Gauge」の新規事業開発を担当。データベースや調査設計等の基盤構築から、視聴データ分析による広告主や放送局等での活用支援まで幅広い領域に携わる。2021年からインテージグループR&Dセンターおよび在学中の筑波大学大学院ビジネス科学研究群で、スマートテレビでの放送とアプリの視聴実態について研究を開始。研究成果は学術雑誌”Journal of Broadcasting & Electronic Media”に掲載。

 

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