日本人が「ますます貧しくなっている」という証左 ビッグマック指数が改善しての喜べない理由

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まず、The Economist のThe Big Mac index( ビッグマック指数、2023年8月3日)によれば、2023年7月におけるビッグマックの価格は日本で450円であり、アメリカでは5.58ドルだ。これらを等しくするような為替レートを計算すると、1ドル=80.65円になる。ところが現実の為替レートは1ドル=142.08円なので、43.2%だけ過剰に円安になっていることになる。これが、日本のビッグマック指数だ。

ビッグマックは、世界のどこでもほぼ同じ品質のものだから、ドルに換算した場合に同じ価格になってしかるべきだと考えることができる。「そうならないのは、現実の為替レートがおかしいからだ」という考えに基づいている。

つまり、ビッグマック指数は、一物一価が成り立つような為替レート(1ドル=80.65円)が正しいものだと考え、そのレートに比べて、現実の為替レート(1ドル=142.08円)がどの程乖離しているかを示すものだ。

日本の指数は、54カ国中、下から数えて11番目という低さだ。

日本のビッグマック指数がこのように低くなるのには、さまざまな原因がある。例えば、金融政策の歪みだ。4割以上も歪んでいるのは驚くべきことだ。日本の金融政策がいかに歪んでいるかを示している。

ビッグマック指数は、豊かさを示しているか?

ビッグマック指数が広く注目を集めているのは、単に為替レートの歪みを表しているからだけではない。次項で述べるように、その国の豊かさを示していると考えられるからだ。

実際、ビッグマック指数のリストで上位にあるのは、スウェーデンやデンマークなど豊かな国であり、下位には開発途上国が多い。

だから、ビッグマック指数の順位が低いのは、日本が貧しいことを意味するものであり、望ましくないと考えられる。そして、時系列的にこの値が下がっているのは、日本の状況が悪化していることの結果だと解釈される。

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