福田淳"新社長"で旧ジャニ、芸能界に起きる超変化 旧態依然とした芸能界の問題を一掃できるか

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ただ、それでも福田さんが経営しているのは、あくまでコンサルティング会社であり、芸能事務所ではありません。そんな「旧ジャニーズから見た外部というだけでなく、日本の芸能界そのものに染まっていない外部の人だからこそ、思い切ったマネジメントでメディアも含めて変えていけるのではないか」という期待の声があがっているのです。

では、新会社と所属タレントたちにはどんな影響があるのか。福田さんが経営するスピーディは、「のんさんの個人事務所と独占的マネジメント契約を締結する」というハリウッド型のエージェント形式を採用しているそうです。

これは芸能事務所とタレントが公平な契約を交わす形態であり、新会社でもこれを踏襲するとみなすのが自然でしょう。のんさんへの順調なオファーの量を見ても、タレントたちは雲をつかむような状態だったエージェント契約に対する不安はやわらぐはずです。

福田さんは、のんさんのエージェントを手がける中で、「企画が立ち消えになる」などの経験を重ねたことで、旧態依然とした芸能界の問題点を実感。2019年には自身のFacebookに、「エンターテイメント産業も、ひとつの立派な産業であるならば、このような古い体質を変えていかなければなりません」とつづるほか、芸能事務所とタレントが公平な関係性であるべきという考えを発信していました。

保留されている新規契約が再開か

特に「育成やサポート体制の費用や労力などを理由に海外より(タレントの)報酬が低く、移籍や独立の自由を認めない」。さらに「活動方針やオファーの取捨選択なども事務所の意向が優先される」「契約書の内容どころか存在すらあいまい」などのアンフェアな慣習を疑問視。「逆らうと仕事がしづらくなるよ」という脅しに近いマネジメントを変えようとしているだけに、タレントたちにとっては得られるメリットが多くなりそうです。

たとえば、新会社のマネジメントなどに不満があってもなくても移籍や独立を切り出すことができるし、逆に新会社は公平な契約と適切な仕事でタレントを引きつけていこうとするでしょう。

これは「タレントと新会社の両方に実力と結果が求められる」という健全な関係性が成立するということ。これまで旧ジャニーズのタレントは「人気先行」と言われがちでしたが、今後は「実力先行」で「あとから人気が追いついてくる」というタイプが増えていくのではないでしょうか。

そしてタレントにとって重要なのが、新規契約の早期再開。クライアントとなる企業や、NHKをはじめとするメディアの中には、「被害者救済で一定の実績が確認されなければ、所属タレントの新規契約はしない」という厳しい姿勢を見せているところが多いのですが、福田さんの社長就任がいい意味でのエクスキューズになるかもしれません。

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