陰謀の天皇金貨 加治将一著

陰謀の天皇金貨 加治将一著

天皇在位60年を記念して発行された10万円金貨が、大量に偽造されて日本に還流したという20年前の事件。その裏には何があったのか。偽造品を輸入した容疑で警視庁に追及されたコイン商から話を聞いた著者が、調査を加えて真相に迫ったノンフィクションテイストの小説。なぜ金貨が空前の発行枚数となったのか。記念コインの還流に直面した大蔵省と政治家の画策。偽造と断定された金貨の不可思議な来歴とは……。

さまざまなパズルを一つずつ解いていく趣の展開はスパイ小説さながらだ。通貨であり同時に収集対象でもある記念コインの特性、そして金地金との関係が丁寧に説明され、これが重要な伏線となって話は進む。中曽根康弘、竹下登など政治家以外の人物は仮名だが、大蔵省元幹部などの名前を推測して読む面白さもある。スイス、中東、中米と舞台の広がりも華々しく、当時の日米関係があぶり出されてくる顛末は最後まで楽しめる。(純)

祥伝社 1995円

  

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