箱根の高級旅館が繰り出す「人手不足」解決の秘策 人口減で働き手がいない町の「逆転の発想」

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一方で、箱根町の人口は1万965人(2023年10月1日時点)と決して多くない。また2013年と比べると生産年齢人口(15歳~64歳)は2割以上減少した。

シフトが変則で山間にある箱根で働くには、住み込み勤務が基本となる。独立系の零細宿泊施設が多く、募集条件が都心のホテルなどと比較すると厳しい。また不動産会社系や国内名門ホテルと比べ知名度で劣っている。広告を打つにも、財務基盤が脆弱な零細宿泊施設にはその余裕はない。

派遣社員を雇うのも簡単ではない。「派遣社員の単価が上がっており、時給換算では現場の正社員と給料が逆転している。派遣社員を配置しても現場社員の不満を高めるだけ」と箱根のホテル関係者は指摘する。

従業員に当事者意識を持たせる戦略

そこで箱根の宿泊施設は「いかに従業員を雇うか」ではなく、「いかに従業員を辞めさせないか」へとシフトをしている。「箱根強羅 白檀」も従業員の離職防止に力を入れる施設の1つだ。同施設が重視していることは、従業員に当事者意識を持たせることである。

「人手不足の時代ということもあり、寮完備や休暇が多いなどの『条件』を見て就職先を選ぶ人が多い。そうした人に当施設で目的意識を持ってもらうために、仕事を任せることを大事にしている」と、運営マネジャーの内田拓氏は説明する。

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