「ワーホリ看護師」の人生を変えた驚きの職場環境 日本とは真逆「高収入、残業なし、休みやすい」

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「ワーホリに来た目的は英語、もっといえば医療現場で使う英語だったんです。ただ、老人ホームだとどうしても身の回りの介助が中心になります。病名や薬に触れたりする機会や看護師さんとやりとりする機会も少ない。それで、やっぱり病院で働きたいと思うようになったんです」

持っているアシスタントナースの資格では、介護の仕事しかできない。しかし、それでも「病院で働きたい」という思いをあきらめなかった。

「日本で看護師をしていたという経験をアピールしながら、どうにか働かせてもらえないか、と就活をしたんです。50ほどの病院に履歴書を送ったら、会ってもらえる病院があって。まさに6月から看護師の補助として働かせてもらっています」

「1分1秒も惜しい、と今は思っています」

実は総収入は下がった。それでも、目標だった医療現場で英語を使う日々が実現した。今は毎日、必死に医療英語を学びながら日々を過ごしている。

「私はもともとシャイで、人見知りで、外国人となんてとても話せない、というタイプだったんです」

日本にいるときにオンラインで英語を学んだりして、ずいぶん変わったというが、海外に出てさらに変わった。

「誰も知らない人ばかりの中でも、自分次第でどうにでもなれるんだ、とわかったんです。それならもう、本当に動いたもの勝ちだな、と。それこそ、ワーホリは自分でお金を貯めてやってきて、時間も終わりが区切られているわけですから。1分1秒も惜しい、と今は思っています」

その藤田さん、実はNHKの番組出演をきっかけに、本人も想像もしていなかったという驚きの出来事が起きることになる。

「大事なことは、目的です。自分の将来にどんなふうに活かしたいのか、という目的があれば、楽しいし、がんばれる。稼ぎながら、得られるものも大きくなる。目的を定めてきたときに、ワーホリはより充実すると思います」

そして藤田さんは、オーストラリアで見つけた自らの夢を、実現することが決まっている。ワーホリが、まさに人生を変えたのだ。

上阪 徹 ブックライター

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うえさか とおる / Toru Uesaka

ブックライター。1966年、兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒業。ワールド、リクルート・グループなどを経て、1994年、フリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍、Webメディアなどで幅広くインタビューや執筆を手がける。これまでの取材人数は3000人を超える。他の著者の本を取材して書き上げるブックライター作品は100冊以上。2014年より「上阪徹のブックライター塾」を開講している。著書は、『1分で心が震えるプロの言葉100』(東洋経済新報社)、『子どもが面白がる学校を創る』(日経BP)、『成城石井 世界の果てまで、買い付けに。』(自由国民社)など多数。

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