駐在員が証言、米国で働く日本人の「悲しい現実」 日本人相手の商売だと米国でも稼ぎは少ない…

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キャンピングカー暮らしにも慣れてきた頃、ラスベガスで始めたインターンが期限の12カ月を迎え、私の在米生活も終わりを迎えることとなりました。

アメリカのインターンシップ制度を利用した場合、期間満了を迎えたらすみやかに帰国することが条件になっておりますが、もしほかのビザに切り替えられた場合は、引き続きアメリカに滞在することが可能です。

代表的な一例が、「インターンシップの期間にアメリカ国籍の方と結婚して配偶者ビザに切り替える」「永住権(グリーンカード)を取得する」「インターンシップ先の企業で就労ビザに切り替える」などでございます。

渡米前、留学エージェントからそんな説明を受けたときは、「まったくの他人ごとだ」とぼんやり聞いておりました。

打診を聞いたときの感想は

ところが、私を待ち受けていたのは、思いもよらない展開でした。「インターン後も、会社に残りませんか?」と打診があったのです。

仕事にも慣れ、フランクで個人の意見を尊重してくれる会社の雰囲気も自分に合っていると感じていましたし、日本帰国後に再度就職活動するのも面倒な気がしておりました。断る理由はありません。

「ビザ更新のオファーをいただけた。やったー! 就職できたー!」とか「何か新しい人生の扉が開いた!」とか、そういった大きな感情は湧きませんで、いたって平静だったように記憶しています。ただ……「何か思いもよらぬ方向にことが動き出したな……」と感じたことを覚えております。

2017年8月、私はアメリカ駐在員となりました。

ただ、一口に駐在員と言いましてもいろいろなタイプがございまして、待遇面でかなり差があります。

一般的に良い待遇を得られるのは、日本で就職した企業から派遣されている海外赴任タイプの駐在員でございます。そうした場合ですと、海外赴任中の家、車、光熱費、保険、年に数回の日本帰国航空券代、子どもの教育費など、あらゆる生活コストが会社持ちになりますので、比較的余裕ある海外生活が送れます。

対して、当時の私が属するような海外赴任ではなく現地採用に近いタイプの駐在員は、ビザの種類は同じでも家や車などは会社持ちではなく自分持ち。よほどサラリーが良い会社に勤務していない限り、物価高のアメリカで余裕ある生活が送れることはございません。

次ページ会社では新たなプロジェクトが動き出していた
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