超高齢社会、高度省エネ社会への
移行を見据えた研究・成果を発信
暮らし創造研究会
その取り組みや研究成果について、同研究会の一員である日本ガス体エネルギー普及促進協議会の幡場松彦会長と、住宅生産団体連合会の樋口武男会長が意見を交換した。
住生活に関連する団体・企業と
有識者により構成される研究会
「暮らし創造研究会」を構成するのは日本ガス体エネルギー普及促進協議会および住宅関連団体、設備・機器関連団体などの団体・企業と有識者である。オブザーバーとして日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、環境省も参加している。
構成団体の一員である日本ガス体エネルギー普及促進協議会会長の幡場松彦氏は、同研究会設立の目的について「超高齢社会、高度省エネ社会への移行を見据え、健康・快適、安全・安心、省エネ・CO2削減を推進するための適切な設備と暮らし方を研究し、成果を発信していくことを目指しています。快適な室内環境の確保などのエネルギー以外の価値(ノン・エナジー・ベネフィット)と省エネ性能(エナジー・ベネフィット)を両立する設備や暮らし方について定量的に把握するといった取り組みもその一つです」と説明する。
同じく研究会の構成団体の一員である住宅生産団体連合会(略称:住団連)会長の樋口武男氏は、同研究会への参加の狙いを次のように語る。「住団連は、住宅産業界の関連団体が構造や工法といった垣根を超え、一体となって住宅の質および国民の住生活の向上に寄与することを目指す団体です。『暮らし創造研究会』は、少子・高齢化、環境・エネルギーなど、わが国が直面する課題の解決につながる研究を行うとのことで、住団連が重点的に活動している事項と共通しており、研究会への参加を通じて『国民の豊かな住生活の実現』に貢献できると考えました」。
三つの部会を設置し、
分野ごとの研究を進める
「暮らし創造研究会」は具体的な研究活動として「効果・効能研究部会」、「暮らしの意識・行動研究部会」、「超高齢社会の居住環境研究部会」の三つの部会を設置し、分野ごとの研究を進めている。研究会発足から1年余りだが、早くも成果が発表されているという。幡場氏は次のように紹介する。
「『効果・効能研究部会』では、前述したようなノン・エナジー・ベネフィットとエナジー・ベネフィットの効果の定量化研究として、気密断熱レベルに差のある3つの住戸に高齢者が1泊した際の健康指標データ(血圧、心拍数、活動量、温冷感など)と温熱環境データを測定しました。また、脱衣室・浴室の室温、湯張り温度に差を設けた環境で入浴した際の健康指標データと温熱環境データも測定しました。実証実験の結果、脱衣室が無暖房の場合、血圧が上昇するといった『ヒートショック事故』への影響なども見えてきました」。