学校名で人を判断するのはいい加減やめませんか ウェルビーイングを学校で実践して起こった事

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中島:教育現場は、さまざまな課題が山積しています。とりわけ教職員の離職や、病気による休職者の増加、それに伴う人手不足。先生たちが楽しく働いていなければ学校の雰囲気は悪くなり、子供たちにもそれは伝わります。

私は、先生たちに幸せに働いてもらいたい。そして子供たちが毎日行きたくなるような学校にしたい。ウェルビーイングの考え方を学校に取り入れたのは、そうした思いがあったからです。

妹尾:教育政策上も、学校運営でも、これまで教職員のウェルビーイングには冷淡だった印象を私は持っていますが、一つにはどう実践したらいいかわからない、ということもあると思います。

ウェルビーイングを実践する「SPIRE理論」

中島晴美(なかじま・はるみ)/埼玉県上尾市立平方北小学校校長。2020年より現職。同県北足立北部地区道徳教育研究会会長、同県教育課程実践事例集編成委員外国語部長、同県社会教育委員および同県生涯学習審議委員、同県公立小・中学校女性校長会副会長、日本の教育とウェルビーイングの未来を考えるシンポジウム実行委員。Well-Being Education(オンラインサロン)代表。日本ウェルビーイング学会所属。Happiness Study Academy在学。ウェルビーイング、道徳科、外国語科を研究し続けている。著書『ウェルビーイングな学校をつくる――子どもが毎日行きたい、先生が働きたいと思える学校へ』(教育開発研究所)、共著に『99%の小学生は気づいていない!? ウェルビーイングの魔法』(Z会)(撮影:尾形文繁)

中島:確かにそうですね。私が学校で実践しているウェルビーイング理論の一つに、「SPIRE理論」があります。

ウェルビーイング研究のスペシャリストである、タル・ベン・シャハー博士が考案したものです。

「S」は精神的(Spiritual)ウェルビーイングで、自己肯定感があり主体的な行動ができること、自分らしさを発揮することなどです。

「P」は心身的(Physical)ウェルビーイングで、心と体が健康であること。

「I」は知性的(Intellectual)ウェルビーイングで知的好奇心を持てること。

「R」は人間関係的(Relational)ウェルビーイングで、人間関係が良好なこと。

「E」が感情的(Emotional)ウェルビーイングで、楽しいと思えること、何かつらいことがあっても立ち直れる力を持っていることです。

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