米国は東アジア重視に転換、大震災が日米関係を後押し

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普天間は一時棚上げか

こうした兆しは、近日中に日米の防衛・外交担当閣僚が参加して行われる2+2会合と、その後に予定されるオバマ大統領と菅直人首相との首脳会談で明らかになるはずだ。

普天間問題はどうか。米国が普天間基地の移転構想を全面的に見直すか、まだ明らかではないが、海兵隊を辺野古へ移転させる期限を2014年とする条件は取り下げる見通しだ。

移転の代替案としては、普天間を現行のまま使用する、普天間での活動を嘉手納空軍基地と統合するなどが考えられるが、いずれにせよ米国政府は、同盟関係のトゲとなっていた普天間問題を、少なくとも一時棚上げしようとしているようだ。

長期的には、海兵隊の沖縄駐留を段階的に廃止し、海上自衛隊が米軍から訓練を受けて海兵隊に取って代わり南西諸島の防衛に責任を持つのが、最も理にかなっている。

海上自衛隊では、すでにいくつかの部隊を南カリフォルニアのキャンプ・ペンドルトン海兵隊基地に派遣し、訓練を済ませた。これらの部隊は沖縄に配備され、訓練時や有事に施設を共同利用することになろう。

海兵隊は基地を恒久的にほかの場所へ移し、日本においては共同施設を整え、アジア太平洋地域全体では随時の基地使用権設定を協議することが考えられる。海兵隊の沖縄駐留についての解決は、この地域における米国の戦略的位置づけ見直しの中で実現可能な策が見いだせよう。

日米首脳会談の準備の一環として、両政府関係者は議題となりうるさまざまな構想を協議してきた。その中には、沖縄での民間による大規模経済開発も含まれている。この構想が採用されれば、保健医療技術関連産業の開発に焦点が絞られることになろう。

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