ChatGPTなど「生成AI」会社への導入で一番大切な事 「実際に業務に活用してもらう」までが必要だ

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ふたつめは、全従業員が生成AIを活用できるような環境作り。多機能ドキュメントツール「Notion」のデータベース機能を活用した当社独自のAIポータルページを作成し、200以上のChatGPTのプロンプト(※)データベースを公開し、テンプレートを活用できる環境を構築しています。

GPT‐4に対応したSlack‐botも立ち上げ、全社員がオープンなスペースで生成AIを活用できるよう促進を図っています。現場の社員が目的にあったプロンプトを検索し、すぐに使える環境を構築することで、生成AIの活用率は一時、8割を超える結果になりました。

(※プロンプト:システムの操作時に入力や処理などを促す文字列のこと)

生成AI導入のステップ

最後は、部署ごとの生成AI活用の推進です。社内FAQのAI化、コード生成/コードレビューの自動化、議事録作成の自動化など、部署特有の業務に適応した開発が必要なケースが増えてきています。そのような特定の業務に関する6つのプロジェクトが進行しており、それぞれで利便性の高いシステムの開発を進めています。

――生成AIの導入は、どのようなステップで進めましたか?

鈴木:真っ先に取り組んだのは、ChatGPTなどの生成AIツールを活用する費用を補助する仕組みの整備です。全従業員が生成AIツールの利用費用を経費精算できる制度を整えることで、まずはトライできる環境は作れたと思います。そのなかで、「dip AI Force」の組織作りを同時並行で進めながら、ガイドラインの策定やプロンプトデータベースの整備などに取り組みました。

なによりも取り組みを始めることが重要で、使ってもらうことで多くの従業員に生成AIの可能性を実感してもらい、社内の活用推進もスムーズに行えたと感じています。

――組織作りの面で工夫したことはありますか?

鈴木:「dip AI Force」を迅速に設置し、役員がコミットすることはもちろん、全国の組織から生成AIの推進に興味があるメンバーが集まり、各部署の課題感や現状を共有できる仕組みにした点です。

また、ディップでは新しい取り組みを行う場合、全社のあらゆる部署にアンバサダーを設置して推進する文化があります。生成AI活用においては、当社史上最大の約250名のアンバサダーを全国に配置し、各部署の生成AI活用を推進したり、現場の質問に答えたりする役割を担っています。

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