消えた"能年玲奈"「あまちゃん」後の復活はあるか 圧力・忖度の問題はジャニーズだけに限らない

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しかも多くのテレビ局がある中、どこか1つくらいは出演させる局があってもおかしくないのに、示し合わせたかのような横並びの対応に終始。どのテレビ局も「のんは使えない」「まだやめておこう」というスタンスのまま時間だけが過ぎていき、彼女は今年7月13日の誕生日で30歳になりました。

エンタメ界を停滞させる古い商慣習

個人活動を制限し、新規参入を阻むような芸能事務所からの圧力を疑われながらも、テレビ局はそれを受け入れてしまう。

このような長年にわたる商慣習によって正当な競争が行われないことで、日本のエンターテインメント業界の技術的なレベルアップが望みづらくなっていた感は否めません。今後も実力や全体のニーズより、一部の芸能事務所やファンを優先させるような状態が続けば、ネットの浸透で始まった世界での競争で生き残っていくことは難しいのではないでしょうか。

時代は昭和から平成、令和と変わり、これまで圧力と忖度を行ってきたと疑われているテレビ局のトップも、芸能事務所のトップも高齢になり、かつてほどの影響力を発揮しづらい状況に変わりつつあるようです。

それでもテレビ局と芸能事務所は、これまでと同じことを繰り返していくのか。また、公正取引委員会はほかの芸能事務所に対しても調査を進め、なかなか「排除措置命令」や「警告」までは至らなくても、ジャニーズ事務所と同レベルの「注意処分」くらいはできないのか。

長年、芸能界を取材していますが、以前より芸能事務所の移籍や独立がしやすくなったものの、他業界と比べたらいまだに「自由が少なく、制約や負担がある」と言われているのも事実。芸能事務所はその理由に「レッスンや育成などのコストをかけている」「事務所のノウハウや内情を知っている」ことなどを挙げますが、それは他業界も同じでしょう。

たとえば、社員に研修や福利厚生などでコストをかけているし、会社のノウハウや内情を知ったうえで転職するのではないでしょうか。職種などによっては秘密保持義務や競業避止義務などを負うケースもありますが、移籍や独立の際に多額の「移籍料」「育成料」などを求めがちな芸能界の商習慣は特異に見えます。

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