みずほがワンバンク化、対峙する「旧3行」意識

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 非効率とされた部分の改善を図るべく、みずほは10年5月に、3カ年の「変革」プログラムの中で対策を盛り込んだ。グループ横断的な事務の集約や、2行の重複機能の見直し、さらに勘定系次期システムの一元化を図るというもの。持ち株会社の塚本隆史社長は、変革には役職員の意識改革が重要だとして、「役員も人数のバランスは配慮しない」と断言していた。が、11年3月公表の役員人事が注目されたが、結果的に大きな変化はなかった。

興銀と一勧で握るか

もともと顧客基盤は優良とされてきたみずほ。それだけに、ほかのメガバンク関係者からは「本気で一本化するなら競争相手としては脅威だ」といった声が聞こえてくる。

ワンバンク化に向けた前段階で注目されているのが、何といってもトップ人事だ。

まず5月中にはシステム障害の対策を発表、今回の責任を取り、みずほ銀現頭取の西堀利氏(旧富士銀出身)が退く見通し。事態は流動的だが、持ち株会社新社長に佐藤康博氏(旧興銀出身)がコーポ銀頭取を兼務する形で就き、みずほ銀新頭取には持ち株会社社長の塚本氏(旧第一勧銀出身)が回るシナリオが有力視されている。ただ、「変革は道半ば。本気でやり抜く」と決意を示していた塚本氏が、傘下銀行の頭取に“下りる”ことに理解が得られるか、疑問は残る。

これで形としては、持ち株会社とコーポ銀のトップを旧興銀が、みずほ銀を旧第一勧銀が握ることになる。3行バランスは崩れるが、早くも「旧富士銀出身者が黙っていないのでは」(金融関係者)と、揶揄する向きが出始めた。合併して誕生する新銀行頭取に、どの銀行出身者が就くかも焦点になるだろう。

10年の株主総会では、コーポレートとリテールで会社を分ける体制を、塚本社長は「国際的に見れば特異でない」と評していた。大規模システム障害を起こし、メガバンクとしての存在意義が問われる中、ワンバンク化は旧3行の残像払拭につながるか。再起に向けて課題は尽きない。

◆みずほフィナンシャルグループの業績予想、会社概要はこちら

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(井下健悟 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済2011年5月28日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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