「日本でスタバ超え」狙うカフェチェーンの正体 池袋の直営店オープン初日には長い列ができた

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Cotti Coffeeは今年8月に海外進出を始め、韓国、インドネシア、カナダ、そして日本に店舗を出した。COTTI JAPANは取材時に、日本を選んだ理由を「コーヒー文化が成熟しており、受け入れられやすい」と答えた。

ラッキンも今年春にシンガポールに進出するなど、ティードリンクはさらに競争が激しい。MIXUEは2018年に東南アジアへの進出を始め、すでに海外で100店舗以上を展開する。中国人留学生が多いイギリスもティードリンクの激戦区で、複数の中国ブランドが進出している。

日本市場は魅力なし?

中国ブランドが日本市場で成功するかについては、懐疑的な声が多い。
関係者によるとMIXUEは日本に子会社を設立しておらず、都内の複数店舗は日本の加盟店が本社と交渉しながら出店している。

表参道の店は看板が出てから実際のオープンまで半年以上かかっており、MIXUEとしては東南アジア市場ほど力を入れていないようだ。2010年代のタピオカブームが一服して以降、日本でティードリンクチェーンとして成り立っているのは貢茶(ゴンチャ)など数えるほどしかなく、魅力を感じていないのかもしれない。

Cotti Coffeeの創業者である陸氏は「3年で1万店舗体制にする」とぶち上げており、海外市場の拡大が欠かせない。

ただCotti Coffeeに限らず、中国のコーヒーチェーンの主力商品はSNS映えを意識したミルクやホイップクリームたっぷりのラテで、毎週新商品を発売したり、異業種とコラボして、目新しさで消費者を引き付けている。

Cotti Coffeeの商品はアプリでクーポンを使うと安く買えるが、定価は500円台が多い。しかも中国ではテイクアウト型スタンドが大半だ(だからこそ10カ月で5000店舗出せたとも言える)。

スタバやドトールなどカフェ専門店だけでなく、マクドナルドやコンビニでも100円台でコーヒーが購入できる日本で、どの程度競争できるだろうか。中国での競争は激しいが、日本もそんなに甘くはないだろう。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
Twitter: @sanadi37

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