「日本でスタバ超え」狙うカフェチェーンの正体 池袋の直営店オープン初日には長い列ができた

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ラッキンは2018年1月に北京で1号店を開業し、わずか14カ月後の2019年5月にナスダック上場。同年末の店舗数は4500店に達し、スタバの中国の店舗数(約4200店超、当時)を超えて、中国最大手となった。中国の道路を埋め尽くしたシェア自転車に続いて、「爆速成長する中国スタートアップ」の象徴として持ち上げられたので、覚えている人もいるだろう。

ところがラッキンは2020年に22億元(約440億円)に上る売り上げの水増しが判明。創業者の陸正耀会長、銭治亜CEOら経営陣は追放され、同社は同年6月に上場廃止となった。

不祥事によるイメージの悪化と敏腕経営者の退場で、誰もが「終わった」と思ったが、ラッキンはしぶとく生き残り今年前半に1万店舗出店を達成。今月には高級酒「茅台(マオタイ)」とコラボした新商品が発売初日に1億元(約20億円)を売り上げるなど、負のイメージもすっかり薄れている。

一方、ラッキンを追放された陸氏と銭氏は打倒ラッキンを掲げてCotti Coffeeを立ち上げた。同じ業態を選ぶところがいかにも中国らしい。2人は昔の人脈で資金調達すると、加盟料ゼロでフランチャイジーを呼び込み、ラッキンのすぐ近くに出店。ラッキンと似た商品を展開するなど、徹底して「成功者の真似をする」作戦を展開している。

Cotti Coffee ラッキンコーヒー
Cotti Coffee池袋店。開店初日は多くの中国人が列をなしていた(写真:筆者撮影)

サッカー好きの中国人消費者に訴求するため、アルゼンチン代表のグローバルスポンサーにも就いた。

来年は日本で「2000店舗出店」

Cotti Coffeeは日本市場でも中国のビジネスモデルをほぼ踏襲している。7月に設立された日本法人「COTTI COFFEE JAPAN」(以下COTTI JAPAN)によると、ドリンクはラテを中心に数十種類を展開し、日本独自のメニューや軽食も提供予定。

ちなみに看板メニュー「ココナッツラテ」も、元々はラッキンが2021年4月に商品化して大ヒットし、今や多くのコーヒーチェーンの定番になった商品だ。

池袋店にはアルゼンチン代表の巨大な垂れ幕が掲げられ、通行人の目を引いている。日本で展開する中国企業は日本のカルチャーを意識して野球のスポンサーになることが多いが、Cotti Coffeeは中国流を貫く。もっともCOTTI JAPANの担当者は「日本の消費者に合わせてもう少しかわいくしたかった」と本音を漏らした。

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