親の「無自覚な小さなうそ」が子どもに及ぼす影響 「約束をつい忘れてしまった」も立派なうそ

拡大
縮小

傾聴は思春期だけでなく、幼少期の子どもとの信頼関係を築くためにも有効です。ただし、小さな子どもの話を聞く際には注意が必要です。

小さな子どもは、毎日のようにきょうだいゲンカやお友だちとのトラブルなどを親に訴えてきますが、言葉がつたなく、なかなか伝わらないこともあります。その際、親が「何が起きたのかを知りたい」という自分軸で聞いてしまうと、問題解決を急ぐあまり、強い口調で「で、結局何が言いたいの?」とか「何があったのか、ちゃんと説明して!」などと、尋問型の事情聴取になりがちです。

しかし、そのあたりの事情を理解できない子どもからすると、「怒られるのではないか」「責められるのではないか」「嫌われてしまうのではないか」という不安から、話したくない気持ちが強くなってしまい、黙ったり、泣いたり、ときにはうそをついたりしてしまいます。

子どもがうまく話せないとき、親はそれを責めてはいけません。信頼できる味方として、子どもの心のなかで絡み合っている不安や戸惑いを、ていねいにやさしくときほぐしてアウトプットさせる役になりきることが大切です。

子どもが話したくなるタイミングをひたすら待つ

もう1つ、気をつけるべきことは、親のタイミングで話を聞こうとしないことです。

親からすると、子どもが帰宅したらすぐ「今日はどうだった? 何をしたの?」と、聞きたくなるものです。しかし、子どもからしたら、帰宅直後は疲れていてゆっくり甘えたいし、遊びたい気持ちもあり、話す気になれません。大人だって、仕事から帰った直後にパートナーや子どもにあれこれ聞かれたら、「今は疲れているからあとにして」となりますよね。

にもかかわらず、「何があったのかを知りたい!」と聞き出そうとすると、子どもは話すこと自体が面倒になり、「わかんない」とか「忘れた」となりがちです。すると、それに対して親がイライラしてしまい、ますます尋問型の事情聴取になってしまいます。

高卒シングルマザーがわが子をUCLA特待生に育てた45の方法
『高卒シングルマザーがわが子をUCLA特待生に育てた45の方法』(かんき出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

子どもとの会話を増やすには、子どもが話したいタイミングを大切にすることがポイントです。そこに気を配れば「親に話を聞いてもらえてよかった」と思えて会話も広がりますので、話したがらないときは焦らずに待ちましょう。

わが家の場合は、帰宅してすぐのときもあれば、ご飯を食べながら、寝る直前のときもありました。部活や塾で帰宅が遅くなったときは、私がお風呂に入っているときに脱衣所まで追いかけてきて扉越しに弾丸トークしていたこともありました。

せっかく子どもが話しかけてきたときに、忙しさにかまけて適当に聞き流しながら曖昧な相槌を打っていると、「どうせ私の話なんて聞いてくれない」とか、「言わなきゃよかった」と感じて、どんどん話をしようとしなくなりますので、タイミングを逃さないことがポイントです。

ここまで、親子の信頼関係を築く方法を3つ紹介しました。どれも簡単なことですが、日ごろから意識していないと、つい軽視してしまったり、忘れてしまいがちですから、ぜひ何度か読み返して覚えていただければと思います。

高松 ますみ スパークリングキッズ代表取締役

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たかまつ ますみ / Masumi Takamatsu

アメリカ合衆国・バージニア州で出産と子育てを経験。帰国後はアメリカ式の子育てを日本流にアレンジした独自の子育てを実践。その結果、英才教育をいっさい施すことなく、長女は中学卒業後、単身でアメリカの高校に留学し、2年連続で「全米優秀生徒賞」を受賞。その後全米ナンバーワンの公立大学「カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)」に特待生として進学。潜在的な生きる力を体系的に育てるオリジナルの子育て法、マミーメソッド「子育て方程式」Ⓡを確立した。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT