親の「無自覚な小さなうそ」が子どもに及ぼす影響 「約束をつい忘れてしまった」も立派なうそ

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普段、子どもに対してうそをついているという自覚のある親御さんは少ないと思います。しかし、無意識にうそをついているということがよくあるのです。

たとえば、「あとで一緒に遊ぼうね」と言ったのに、家事が忙しくて遊べなかった。「今日の夕飯は大好きなオムライスにしようね」と約束していたのに、卵を買い忘れて違うメニューに変更した。このようなことも、子どもにとっては立派な「うそ」です。

また、「もうご飯の時間だから、ゲームは食べ終わってからにしよう」と約束をしたのに、子どもが忘れていたため「しめしめ、忘れているから黙っておこう」と、親がリマインドせず、子どもが気づいたときにはもう寝る時間、といった経験をすると、「ママ(パパ)はすぐうそをつく」と思うようになってしまいます。

このような小さいうそをつき続けていくうちに、「今度ね」や「あとでね」と言われても、その言葉を信じられず「このチャンスを逃したら二度と希望がかなわないのではないか」と焦り、癇癪を起こしてしまうのです。

約束を具体化すると子どもは安心する

実は、わが家の子どもたちは癇癪を起こしたことがほとんどありません。それには理由があります。次のように子どもたちとの約束を明確にして、それを必ず守るようにしていたからです。

・また今度ね → 来週木曜日の塾のあとね

・頑張ったときのご褒美にしようね → スイミングの10級に合格したらね

・あとでね → 歯医者さんから帰ってきてから晩ご飯までの45分間でやろうね

このように、約束事を具体化してカレンダーに記入する、ホワイトボードに書く、メモ用紙に書いて渡すなど可視化していました。子どもは、安心チケットを手に入れたようなものですので、癇癪を起こさなくなりますし、それまで楽しみに待つことで、忍耐力と計画性も育ちます。

もし、子どものほうが約束をすっかり忘れていたとしても、「今日はこの前約束していたものを買う日だね。今日までよく我慢できたね」とか「テレビを観る約束の時間になったよ」と声をかけてあげることで、「親は約束を守ってくれる」と信頼してくれるようになります。もちろんこれは、未就学児など小さい子だけでなく、思春期の中高生に対しても同じです。

「かなえられないことは約束しない。約束したことは必ず守る」を親が徹底していくことで、親子の信頼関係を築くことができるのです。

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