「ドリル優子」批判やまない小渕氏の不安な前途 どっぷり漬かった「昭和の政治」から脱却できるか

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特にこの問題で、東京地検特捜部の家宅捜索前にパソコンのデータを保存するハードディスクがドリルで破壊されていた事実が報じられると、ネットも含め「ドリル優子」と大炎上。さらに、2015年に元秘書2人の政治資金規正法違反での有罪判決を受けて、小渕氏の管理責任が厳しく問われたが、説明のための本格的記者会見は地元群馬で2015年に1回開いただけだったため、いまだに当時の汚名を引きずる状況が続いている。

小渕選対委員長も含めた自民党4役の就任会見は内閣改造に先立つ9月13日午前、永田町の自民党本部で開かれた。これまでの党4役就任会見は儀礼的な内容となるため、記者席も空席が目立つケースが多かったが、今回は50人近い記者で満席となり、しかも最前列に多数のカメラマンが並ぶという物々しい雰囲気で始まった。

もちろん、注目の的は小渕氏の言動だった。就任会見という晴れ舞台に黒いパンツスーツで臨んだ小渕氏は殊勝な態度で抱負を語ったが、記者団は次々と過去の政治資金規正法違反事件について小渕氏を問い詰めた。

「決して忘れることができない『傷』」と涙ぐむ

これに対し小渕氏は、次第に感情が高ぶったのか、目に涙をたたえて「あの時に起こったことは、政治家として歩みを進めていく中で、決して忘れることのない『傷』。私自身の今後の歩みを見て判断していただきたい」と言葉を絞り出し、すさまじいカメラのフラッシュを避けるように頭を下げた。

小渕氏は、この事件についての地元群馬での記者会見では「心からおわび申し上げる」などと謝罪を繰り返したが、詳細については「関係者が亡くなったり、資料がなかったりして十分に説明できない」「捜査や調査の限界があるのでこれ以上の説明はできない」などと“幕引き宣言”して、以後は沈黙を続けてきた。

だからこそ、今回の就任会見での対応が問われたわけで、自民党内からも「改めてきちんと説明できなければ、涙で訴えても逆効果」(長老)との厳しい声が噴出。そうした状況も踏まえ、山口那津男公明党代表は9月24日放送のBS朝日「激論!クロスファイア」で、「説明責任が十分ではない。しっかり果たしてもらいたい」と苦言を呈した。

そもそも、政治資金をめぐる自民党議員の不祥事は「日常茶飯事」(選対幹部)だ。それだけに、小渕氏にしてみれば「なぜ自分だけがいつまでも追及されるのか、との思いが強かった」(周辺)とされる。

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