「矢田・首相補佐官」に見る"岸田流したたか戦略" 露骨な連合分断作戦、自公国連立の布石にも

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その自民が「次の戦略」(選対幹部)として見据えるのが「矢田氏の25年参院選比例代表への擁立」(同)だとされる。「それが実現すれば電機連合を完全に取り込める」(同)というわけだ。

動揺する野党陣営、「ぶっ壊される」と連合幹部

こうした岸田政権の「矢田首相補佐官任命」への一連の戦略に、野党陣営は動揺を隠せなかった。立憲民主の泉健太代表は15日、「(国民民主の)連立入りへの布石と思われても仕方ないが、違和感は拭えない。岸田首相、自民党側に何らかの意図があることが伝わってくる人事だ」と露骨に顔をしかめた。

国民民主の政権接近について、これまで泉氏は連合に対し「国民民主との橋渡し役」を求めてきた。「もともと同根の国民民主との連携再構築で、党勢を立て直したいと考えていた」(泉氏周辺)からだ。ただ、立憲民主の内部からは「いつまでも国民民主との連携にこだわらず、今こそ縁を切るチャンス」(閣僚経験者)との声も出始めている。

一方、今回の矢田氏起用に際し、当事者の電機連合は任命前の14日、加盟労組などとの緊急会議を開き、対応を協議した。出席者からは「目玉が飛び出るような話があると聞かされ、みんなひっくり返った」との声が噴出したとされる。連合幹部は「連合がぶっ壊される」と危機感を露わにした。

連合はこれまで、自公国連立政権構想には反発してきており、芳野友子・連合会長はメディアの取材に対し、矢田氏について「直近まで参院議員や電機連合の役員として活動してきた方。政争の具に使われないよう気をつけてもらいたい」と強く牽制した。

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