SNSで悟りを広める「バズり住職」が伝えたいこと 「ぴえんもご縁」フォロワーが10万人を超えるお坊さんも

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松崎さんと同じく、お寺の存続に危機感を覚えSNSの活用を始めた、大阪市平野区にある「専念寺」住職、籔本正啓さんはこう話す。

「住職は宗教者であると同時に、お寺の経営者です。数年前にこのままでは経営が立ち行かなくなると思い、イラストが入った手書きの御朱印、いわゆる“アート御朱印”を始めるなど、お寺に興味を持ってもらうために試行錯誤をしていました。

インスタやXに、掲示板へ貼り出した言葉を投稿するのも、お寺のPRになればと始めたこと。TikTokも利用しているのですが、今では中高生の若い子たちが放課後にお寺に足を運んでくれるようにもなりました(笑)

写真左から籔本正啓さん、松崎智海さん(写真:週刊女性PRIME編集部)

実際にバズったおふたりの投稿や、バズりに至るまでの道中を詳しく聞いていこう。

SNSで反応されやすい「猫の写真を添える」

23歳という若さで住職になった籔本さん。毎日欠かさずお寺の掲示板に「今日のひと言」を貼り出し、SNSにもアップ。多くの反響を呼んでいるが、もともとは、字の練習のために始めたそう。

葬儀の際に用いる、戒名などを記した“白木位牌”を書くのも仕事なのですが、住職になったばかりのころは字が本当に汚くて(笑)。人に見てもらったほうが上達すると思い、書いたものを寺の掲示板に貼るのが日課になりました」(籔本さん、以下同)

最初は仏教の教えをそのまま書き写していたが、段々と今風な言葉を使うように。

内容は仏教の本筋からそれないようにしながら、見てくれる人に伝わりやすい言葉を選ぶようになりました。まだまだ未熟な身なので、自分への戒めの意味も込めています

そんな日課である「今日のひと言」を、お寺のPRに活用できないかと、写真を撮ってインスタグラムに投稿するように。ただ、すぐに投稿がバズったわけではない。

フォロワー数もなかなか伸びず、多くの人の目に留まるにはと考えたときに『毎日投稿をする』、SNSで反応されやすい『猫の写真を添える』ということを思いつきました

地域猫の保護活動もしている籔本さんは、自分で撮影をした地域猫の写真と今日のひと言を組み合わせてインスタに投稿をするように。すると、フォロワーが急増した。

地域猫は大変な苦労をしてきているので、ジロッとにらむような鋭い目つきをしています。そんな説得力のある表情をした猫たちに代弁してもらったことで、多くの人に言葉が届いたようです

猫は仏教と縁の深い生き物。インドから経典を船で運ぶ際に、ネズミから守ってくれたという逸話が。そんな猫の力を借りつつ、籔本さんはこれからも投稿を続けていく。

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