VIVANTが見せた日本のドラマが失っていたもの 単なる考察ドラマで終わらなかった深い理由

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そして、絶対何かありそうと思わせてきた柚木薫(二階堂ふみ)や野崎の協力者ドラム(富栄ドラム)、憂助のもうひとつの人格F(堺2役)にももう一捻りあるのではないか。

長野利彦(小日向文世)もこのまま終わりのわけはないだろう。そのまんま何もなければないで、視聴者の不満が噴出するだろう。ひとりひとり、実は、実は、と描写していたら、79分では終わらない気がする。

『VIVANT』のキャッチコピー「敵か味方か、味方か敵か―冒険が始まる。」 のように、最後まで誰と誰が味方同士で敵同士なのかさっぱりわからない。

「しっかりした台本」に基づいている

このように、餌が大量にばらまかれ、盛り上がる芽はたっぷりあって、世帯視聴率的には第1〜8話はじわじわと堅調推移だった。たとえば、最終回直前の第9話は、その週末、「H2A」47号機の打ち上げに成功し急伸した三菱重工株のような盛り上がりを期待したのだが……。

第9話放送日、TBSは『VIVANT』祭り体制で、午前中は、TBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』(日曜午前10時〜)に主演の堺雅人が出演、夜は19時から「日曜劇場 VIVANT 堺雅人&阿部寛&二宮豪華出演者が総出演! 緊急生放送150分SP」を放送、2時間半の生放送特番(これまでのストーリーの振り返りと出演者たちのトーク)と79分のスペシャル本編放送を行った。最終回も79分のスペシャルとなる。

流行りの考察ドラマとして、風呂敷を大きく広げて餌をまくだけまいて、実は、実は、と視聴者の予測をひっくり返しているだけのドラマだろうという見方もある。ところが、堺雅人は、『安住紳一郎の日曜天国』で「しっかりした台本」と信頼を語った。

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