危ない?ワンルーム投資は本当に儲かるのか 経験15年のベテランが明かす「勝利の鉄則」

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Bさんには「負けない戦略」がある。それは物件を持ち続けることだ。売却を前提に不動産を購入すれば、物件の価格をいつも気にしていなければならず、売却するタイミングで損をすることがある。しかし、物件を持ち続ければそうした心配はない。逆に言えば、自分が持ち続けても良いと思える物件に絞って投資する。

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さらには、投資用ローンでも住宅ローンと同様に、加入条件のいい団体信用生命保険に入れることを利用する。Bさんの場合、相続の際に残るであろう借入金の半分程度は、団信によってカバーされるようになっている。

Bさんは不動産投資の土地部分はできれば自己資金で賄いたいと考えている。ローンを組んで購入すると利息分は経費として認められるが、土地に関する利息分は経費として認められないためだ。借入金がその利息の経費計上が認められる建物分だけになっていれば、リスクに対する許容度が高まる。「資金計画を作る際は、空室が出ることなど最悪のケースを必ず想定する」(Bさん)。

業者として付き合うのは、仲介会社のトップセールスマン。優先的に物件の情報をもらえるし、いい相談相手にもなってくれる。購入する物件は新築であることが多い。本当にいい中古物件は市場に出る前に業者が押さえてしまっていることが多く、新築ならば他の投資家と同条件で買うことができるからだ。

今ではBさんのもとには「もっと安い金利でお貸しします」といった銀行からの融資提案が多くくる。しかしBさんはあくまで自分の投資ポリシーを貫くつもりだ。

投資利回りは2005年以来で最低

現状ではワンルームマンション投資に過熱感が出ている。2013年以降、全国のワンルームマンションの価格は上昇が続いており、表面利回り(物件価格に対する年間家賃の割合)は8.91%と2005年以来で最低を記録している(不動産投資の情報サイト「健美家」のデータ)。マンション投資の動向に詳しい、東京情報堂の中川寛子氏は「表面利回りは12~13%が理想。価格的に買い時とは到底思えない」と話す。

これからマンション投資を検討する場合は、将来の年金代わりのつもりが足かせにならないよう、十分に注意する必要がある。特に今後の金利上昇には要注意だ。自分なりの投資ルールを明確に決めたうえで、じっくり物件を見極めたい。

並木 厚憲 東洋経済 記者

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なみき あつのり / Atsunori Namiki

これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。テーマとして地方問題やインフラ老朽化問題に関心がある。『週刊東洋経済』編集部を経て、2016年10月よりニュース編集部編集長。

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