対話型AI、使う人が知るべき「著作権侵害の注意点」 テキストの入力行為でも問題が生じる可能性

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これはOpenAI社のGPTを使用しており、未完成のコードを自動補完したり、コードを効率化したり、自然言語で記述されたプログラムをプログラミング言語に変換したりと、エンジニアを支援する機能を搭載しています。

このCopilotは、学習にあたりGitHub上で公開されたコードを使用していましたが、これらのコードを使用する場合、その権利者が提示したライセンス条件に従う必要があります。

そしてCopilotは、コードの使用にあたり権利者が要求していたライセンス表記を行っていなかったことから、これらのコードを公開したプログラマーから、GitHub社、マイクロソフト社、OpenAI社などに対し、連邦地裁において集団訴訟が提起されています。

対話型AIが出力したテキストの著作権

生成AIと著作権の問題に関しては、生成AIの「学習段階」、すなわち既存のコンテンツの学習データとしての利用の局面と、「利用段階」すなわち生成AIが生成したコンテンツの利用の局面とに分けて検討するべきことが、文部科学省をはじめとする行政や識者の間でのある程度のコンセンサスとなりつつあります。

このように考えた場合、画像生成AIにおけるのと同様に、対話型AIが生成したテキストに関しても、一定の問題が生じてくる可能性があります。

例えば、特定の作家の作風や筆致に類似したコンテンツを生成した場合、その類似している部分が著作権の侵害とされるおそれがあります。

実務上も、前述のCopilotのような開発支援ソフトが生成したコードを使用してソフトウェアを開発した場合、その商用利用にあたり、生成されたコードの部分の権利が誰に帰属するのかという法的に困難な問題が待ち構えています。

次ページ「創作意図」と「創作的寄与」が問題に
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