ジャニ会見で露見、井ノ原氏と東山氏「対応力の差」 謝罪会見に必要なのは、嘘偽りのない真摯な言葉

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謝罪会見で必要な言葉は、弁護士から指導されたままの「法的責任を逃れるための巧みな弁明」でもなければ、追及をかわしながら会見時間を空費するための「当たり障りのないキレイゴト」でもない。「嘘偽りのない、真摯な言葉」だけが批判者の心を打つ力を持っているのだ。

井ノ原氏の凄さを感じたのは、こうした「言葉」だけではない。「振る舞い」も見事だった。「同じところばかり当てられている」と、質疑の最中、司会者に怒声を浴びせた記者がいた。だが井ノ原氏は自然な微笑みを絶やさず、そして司会を飛び越えて、憤る記者に質問を促していた。

あるいは質問に答える際も、井ノ原氏は記者の名前を呼んでから答えている。凡庸な登壇者であれば「テレビ東京さん、どうぞ」などと、社名で質問者を呼ぶ。だが社名と自分の名前、どちらが質問者の心に刺さるかは言うまでもない。

井ノ原氏は報道記者との接点は普段は皆無だろうから、会見に出席している記者のほとんどが初対面のはずだ。にもかかわらず、記者が質問の最初で口にする名前をとっさに覚え、回答の際に名前で呼びかけるという卓越した気配りのセンスを見せた。

新社長の東山氏と、子会社社長の井ノ原氏

一方で、東山新社長はその性格ゆえか、あるいは社長の重責ゆえか、誠実さは感じさせつつも慎重な答えに終始した。もし井ノ原氏がいなかったら、会見の反応はもっと批判的になっていた可能性もある。井ノ原氏の言葉と振る舞いで、東山新社長はかなり救われたのではないか。

東山紀之氏(撮影:東洋経済オンライン編集部)

井ノ原氏はタレントの育成責任者とはいえ子会社の社長なので、絶対に会見に出なくてはならない立場ではない。自ら進んで登壇したのか、あるいはジャニーズ事務所の誰かが要請したのか。もし井ノ原氏の資質を見抜いて要請したのだとしたら、担当者の「ファインプレー」と言える。

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