菅谷昭・長野県松本市長--放射線による健康被害から守るため、集団移住など福島県の子どもたちの受け入れを検討中

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チェルノブイリ原発事故で被災した子どもたちも、たとえばドイツやイタリア、北欧など夏休み期間を利用して、放射能汚染がない地域で過ごすことがずいぶんと行われている。日本でも毎年受け入れているところもある。

福島の子どもたちも、そのようなノウハウを持って放射能汚染から安全な、たとえば長野県でもいいし西日本でもいい、夏期保養などとして受け入れる体制をつくるべきではないか。

子どもにとって親と別れることは寂しいことだが、親元を一定期間離れて生活するのも、学習以上のよい経験になると思う。1、2カ月間、放射能から安全な場所で安心な食べ物を食べ、放射能被害からのストレスを避けて心が癒やされるような空間が必要だ。

--松本市でも放射線量の計測などを実施しているが。

給食など、特に食の安全について母親などからの問い合わせや、心配する声も来ているようだ。市内の学校給食については、食材を調達する公設卸売市場などと連携してチェックできるように取り組んでいる。

--福島県内の学校では、通常よりはるかに高い放射線量が計測され、文部科学省が出した年間20ミリシーベルトとする「学校使用に関する暫定基準」に父兄から疑問と不安の声が出ている。

東日本大震災発生後に内閣官房参与となった小佐古敏荘・東京大学大学院教授が辞任した際、「(20ミリシーベルトという)この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」との発言に共感した人もいたのではないか。

誰でも自分の子どもが、孫が、と思えば、真正面から現実を受け止めるべきだと考えるのは当然だ。

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