10両化は?武蔵野線「ちょっと気になる」疑問点 2023年で開業50年「謎の構造物」やダイヤの事情

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やはり武蔵野線の建設以前にできた複々線区間などでは、一度造った施設を簡単に変えることはできず、通過のままにせざるをえないようだ。

その証拠に、武蔵野線開業後に建設された埼京線は、接続駅の武蔵浦和に最速達列車の通勤快速を停めている。埼玉県内のJR各線の各駅停車は日中10分おきの運行が多い中、京浜東北線の南浦和より東京側の区間は5分おきなのも、単に車庫があるからというだけでなく、武蔵野線接続を意識しているのかもしれない。

混雑緩和策とダイヤの今後

10両編成化の計画はあるのか?

武蔵野線は8両編成での運転だが、とくにコロナ前には「武蔵野線は混雑がひどいので10両化しないのか」「武蔵野線10両化を検討したけど有効長の問題で断念したらしい」といった声や噂をネット上などでよく見かけた。

筆者も10両化を考えていたのでは?という土木構造物を発見した。それは南浦和駅西端にあり、高架橋の台座からニョキッと生えている。いかにもホームを延長してその支えにするつもりで造ったとしか思えないような構造物なのだ。しかし、いくら資料をあさっても「当初6両、将来8両」といった記述しか見当たらず、10両を想定していた証拠は見つからない。

南船橋駅 ホーム 出っ張り
南浦和駅の高架にある出っ張り。一見ホーム延伸用の設備に見える(筆者撮影)

そこでJR東日本に聞いてみると、「南浦和駅の高架橋の出っ張り部分は、将来的に8両編成対応用に作られた設備(開業当時は6両編成)で、実際に8両編成対応用にホームを延伸した際には、使用しなかった部分となります。そのため10両化を想定した設備ではございません。また、武蔵野線の10両化について、現時点で計画はございません」との回答であった。

ただ、10両化の計画はないというものの、近年は総武線のお下がりで入ってきた拡幅車体の電車により混雑緩和がなされていたり、ダイヤ改正のたびに増発されている西船橋―京葉線方面間の区間列車は京葉線車両による10両運転が多くなってきたりしている点を考えれば、よくなっていることは確かだ。

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