ランクル250「10の質問」でわかった開発者の志 ランクルがランクルであるために必要なこと

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もう1つ大事なのは、ハイブリッド化した際、モーターパワーをオフロード車のために最適化することです。はじめのタイヤのひと転がりでトルキーな感覚を出すためには、電気のレスポンスの良さは有効です。

また、ハイブリッドは、モーターパワーをどのように有効活用するか。燃費に振るのか、走行性に振るのかと、さまざまな使い方ができますから、クルマの個性に合わせてハイブリッドシステムを展開していきます。

質問10:BEV(電気自動車)の設定はないでしょうか?

回答者:中嶋裕樹 チーフブランディングオフィサー

BEVは、作ります。大事なことは、ランドクルーザーというブランドを残していこうとするなら、間違いなく将来はEVになるということです。もはや、EV化は避けて通れません。

2023年6月の「Toyota Technical Workshop」(電動化などに関する新技術を発表した技術説明会)は、ご覧いただけましたでしょうか。

今回、質問に答えてくれた開発者、左から森津氏、ハンフリーズ氏、中嶋氏(写真:トヨタ自動車)
今回、質問に答えてくれた開発者、左から森津氏、ハンフリーズ氏、中嶋氏(写真:トヨタ自動車)

あの場でお見せした、レクサスLX(300とプラットフォームを共用)は水素エンジン車ですが、すでに白ナンバーをつけていました(つまり、公道走行可能ということ)。また、ランクルと同じようなフレーム構造を持つ「ハイラックス」のBEVも出していました。

もしかすると、フレームストラクチャー(ラダーフレーム構造)は、水素タンクの搭載のしやすさや、バッテリーの衝突保護に向いているかもしれません。

将来のことは断言できませんが、このように開発側は代替燃料車のアベイラビリティ(可用性=使い続けられること)を徹底的に拡げて、さまざまなクルマを開発しています。あとはマーケットのニーズでしょうか。技術開発はしっかりやっています。

「いいクルマなんじゃないか」という予感

筆者は、開発者たちの話を聞いて、「今回のランクル250、いいクルマなんじゃないか」と思うようになった。

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また、「プラドと一線を画したクルマにしたい」という開発者の思いも興味深かった。実際に乗れる日がくるまで、まだ時間はかかりそうだが、大いに楽しみな1台ではないだろうか。早く乗ってみたい気持ちが生まれた。

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小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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